第2編 物権:物に関して
第二編 物権
第6章 地役権:不便解消に隣の土地を利用する権利
第六章 地役権

第2編 第7章 留置権:払うまで返さない権利
第2編 第5章 地上権:用地として土地を使える権利
地役権とは
- 第280条重要
-
法律的な手続きにより定めた利用目的にそって、自分の土地の不便解消のために他人の土地を利用する権利を《地役権》といいます。
《地役権》は、世間の秩序を乱さない目的で、定めなければなりません。
原文
247
地役権は要役地とセットで
- 第281条
-
他人の土地のために不便を解消してあげる側の土地のことを《要役地》といいます。
地役権は、必ず要役地の所有権にセットされるものなので、その要役地の所有権が人手に渡るとその土地の地役権もセットで人手に渡ります。
また要役地に抵当権や地上権が設定されると、それらの権利を有する人は地役権も獲得することになります。
ただし、地役権を法律的に設定する際に他の権利との兼ね合いを定めていれば、その定めに従うこととなります。 - 2
-
セットされた地役権を要役地から取り出して他の土地にセットしても、それでは自分の土地の不便を解消することはできません。
したがって地役権だけを要役地の持ち主以外の人に譲り渡すことや、要役地とセットになっていない地役権に対して他の権利を設定することはできません。
“他人の要役地から不便を解消してもらっている土地”のことを《承役地》といいます。
原文
248
地役権の切り分けは
- 第282条
- 地役権がセットされている土地が何人かの持ち主の共用物である場合、一部の人の持ち分の地役権だけを消滅させることはできません。
- 2
-
土地を分割したり、一部を切り売りしても、単純に地役権が失くなるわけではありません。
しかし地役権に関わるエリアと関わらないエリアに切り分けたら、地役権にかかわらないエリアの地役権は消滅することになります。
原文
249
地役権の時効取得について
- 第283条
- 地役権は、所定の期間に渡って誰が見ても「不便をを解消さえているなあ」とわかる形で使われていると、時効によって取得することができます。
原文
250
- 第284条
- 複数の人たちの共有の土地が他の人の土地から不便を解消してもらっている場合、その共有者の一人が時効によって地役権を取得した時は、他の共有している人も同様に地役権を取得できます。
- 2
- 共有の土地の持ち主の一人に対して時効のカウントがリセットされて新たなカウントダウンを始めたとしても、他の共有している人にはそれぞの時効のカウントダウンが中断したり、リセットされることにはなりません。
- 3
- 共有の土地の持ち主の一人に対して時効のカウントダウンが中断したとしても、他の共有している人のそれぞれの時効のカウントダウンは中断せずにそのままカウントが続くことになります。
原文
251
水を引くための地役権
- 第285条
-
隣の土地(承役地)に水路が引かれていて、自分(要役地)はそこから水を供給してもらっているような状況で、隣と自分の土地の水の需要が満たされないときは、まず優先的に隣と自分との生活用水として使うこととし、さらに余った場合は生活用以外の用途に水を使うこととします。
もちろん、当事者の間で別の取り決めをしている場合は、その取り決めの内容が優先されます。 - 2
- 水を供給する側の土地から、複数の土地へ水を供給することとなった場合は、もともと供給していた方の水の供給が優先され、後から供給することとなった側は先の供給に支障をきたすような水の供給は許されません。
原文
252
隣の土地のために工事をしてあげるという取り決めは
- 第286条
- 「隣の土地の不便解消のために自分の土地を使わせてあげる上に、隣ではなくて自分の負担で工事や補修もしてあげる」という取り決めが交わされた土地の所有権を引き継いだ人は、後々までその義務を引き継ぐこととなります。
原文
253
- 第287条
- 隣の土地のために工事や補修をすることが負担に感じるようになったら、その土地の所有者はいつでもその土地の所有権を隣の人に売り渡すことが許されます。
原文
254
隣が設けた道や設備を使わせてもらうためには
- 第288条
- 隣の土地の持ち主の使用に負担や迷惑をかけない範囲であれば、隣の土地の持ち主が費用を負担た場合でも不便さを解消するために設けた道や設備を土地の持ち主が使用することは許されます。
- 2
- 隣の土地のための道や設備を使わせてもらう場合には、土地の持ち主といえども使う割合に応じて工事や補修のための費用を負担しなければなりません。
原文
255
時効によって土地の権利を手に入れたら
- 第289条
- 不便を解消してもらっている土地を時効によって手に入れることができたら、その土地も自分の土地ですから、わざわざ地役権は必要無いので自然に消滅します。
原文
256
- 第290条
- 土地の持ち主が「この土地は自分の持ち物だ!」と主張することにより、隣の土地の持ち主による《地役権》の時効の進み具合はリセットとなります。
原文
257
地役権の時効の期間とカウント開始のタイミング
- 第291条
-
地役権の時効の期間は一般的な消滅時効(第166条第2項)と同じ期間は20年です。
時々お隣の土地の世話になっている場合は、最後に「自分の土地だ」と主張をした時から時効のカウントが始まります。
年がら年中お隣の世話になっている場合は「自分の土地だ」という主張が止まった時から時効のカウントが始まります。
原文
258
- 第292条
-
数人で共有の土地が隣の土地に不便さを解消してもらっている場合、持ち主の一人でも時効のカウントダウンが止まることになったら、他の共有の持ち主も同様に進行が止まることになります。
数人で共有の土地が隣の土地に不便さを解消してもらっている場合、持ち主の一人でも時効のカウントがリセットされたら、他の共有の持ち主も同様にカウントがリセットされることとなります。
原文
259
- 第293条
- 「自分の土地だ」という主張が、隣の不便さを解消している土地の全域までいき渡っていない場合、その主張からもれた部分の時効は進行が止まったりリセットされることにはならず、そのままいけば時効が成立することとなります。
原文
260
共有利用ではない入会権
- 第294条
- 共同利用を前提としていない《入会権》のルールは、各地の慣習で決めますが、この章のルールについても同様に適用することとします。
原文
261
第2編 第7章 留置権:払うまで返さない権利
第2編 第5章 地上権:用地として土地を使える権利
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