CONTENTS



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3.債権 1.総則

第3編 債権:相手に何かをしてもらう権利

第三編 債権

第1章 この編全般にいえること

第一章 総則

第3編 第2章 契約:約束や取引を交わす14の方法

第2編 第10章 抵当権:譲り受けない不動産で担保する権利
第1節 債権はどんなことを対象にできるのか

第一節 債権の目的

債権の内容
第399条

「相手に何かをしてもらう約束」は、お金に換算できないことであっても《債権》の対象となります。
ある人に対して“金銭の支払い”だけにとどまらず、“何かをしてもらう”ことを要求できる権利のことを《債権》といいます。
ある人に対して“金銭の支払い”や“何かをしてあげる”ことをしなければならない義務のことを《債務》といいます。
原文
何かを引き渡す時は“お店にならべる大切な商品”のように
第400条重要

債権の内容が「相手に何かの品物を引き渡すこと」だとしたら、引き渡しの義務を負う人はそれを引き渡すまで、“契約の内容に見合うお店にならべる大切な商品”のように丁寧に保管しなければなりません。
“債権により引き渡しの義務を負う人”のことを《債務者》といいます。
原文
どんな種類のものを引き渡すか、ということしか
第401条

契約の当事者の間で、ある品物を受け取る約束をした場合、具体的に何かを特定しないで、おおまかな種類を指定しているぐらなら、特別高級な品物を引き渡す必要はありません。

とはいえ、著しく貧相な品物では相手に不満も生じますので、少なくともその種類において並レベル以上の品質のものを引き渡すようにしてください。
2

どんな品物引き渡すかを契約の中で特定しなかったとしても、ひとたび品物の引き渡しをつつがなくし終えたら、以降その物が契約上の品物の標準となります。 また、引き渡しを受ける側が、具体的にどんなものを欲しいかについて予めOKをした場合も、以降その物が契約上の品物の標準ものとなります。
“債権により引き渡される権利を持つ人”のことを《債権者》といいます。
原文
お金の支払い義務
第402条

債権の内容がお金の支払いだったら、その義務を負った人から通貨での支払いを受けることになります。

予め特定の通貨で支払うことを取り決めしていた場合は、その取り決めに従って決められた通貨で支払いをしてもらいます。
2

支払いの時期になって、取り決めしていた通貨が通貨として流通できなくなっていた場合は、支払いをまぬがれるのではなく、他の通貨で支払いをしなければなりません。
3

通貨の支払いに関する規定は、日本国内の通貨に限らず、外国の通貨についても同じように適用することとします。
通貨で《債権》の支払いの義務を果たすことを《弁済》といいます。
原文
第403条

海外通貨で支払う約束をしても、そうせずに、支払う時点の為替相場の“円(日本の通貨)”で支払うことも認められます。
原文
民法が定める利率
第404条重要

特に利率を決めていないのに、利息をつけなければならないことになったら、その時点での法定利率を適用することとします。
2

法定利率は、ひとまず年利3%とします。
3

法定利率は、3年ごとに法務省令で見直します。
4

3年ごとに見直して、直前の利率よりも上げ下げの必要があれば、法務省令により新たな利率を設定します。
5

法定利率を見直す際に、法務省令に基づいて「基準割合」というものを設定し、法務大臣が告示を行います。

「基準割合」は、期の初日の6年前から2年前までの各月の短期貸付の平均利率の平均値で、各年の1月から12月まで5年間にわたる短期貸付の平均利率を合計し、60で割って算出します。

この割合に0.1%未満の端数がある場合は、切り捨てにします。
民法が定める利率のことを《法定利率》といいます。
原文
利息にも利息
第405条

利息分の返済が1年以上遅れ、支払いを督促されても返済されない場合は、もともと支払いの義務を負っていた金額といっしょに利息分を組み込んで、利息分にも利息をつけることができます。
原文
どれを選んで引き渡すかを決めるのは
第406条

債権の内容が、複数の物の中からどれか一つ(またはいくつか)を引き渡すことだとしたら、債務者がどれを渡すかを決めればよいこととします。
原文
相手に「これを引き渡します」という意志表示を
第407条

どれを引き渡すかを決める場合は、譲り受ける側との間できちんと「これを渡します」というような意志表示をしてください。
2

ひとたび「これを渡します」という意志表示をしたら、譲り受ける側がOKを出さない限り撤回することはできません。
原文
いつまでもどれを渡すか決めない場合
第408条

債務を果たす期限を過ぎて、「早く引き渡せ」と催促をしても一向に引き渡しをせず、どれを引き渡すのかすら決めない場合は、引き渡しを受ける側がどれを引き渡してもらいたいのか決めてもよくなります。
原文
当事者以外の人がどれにするか決める場合
第409条

「どれを引き渡すのか」を、債権の当事者以外の人が決めることになっている場合、それを決めたらどれにしたのかきちんと債権者や債務者に伝えてください。
2

当事者以外の人がどれにするのか決めるはずなのにいつまでたっても決めてくれない時は、どれにするかは債務者が決めることとします。
原文
不良品は引き渡してはいけません
第410条難文

いくつかある物のの中から選んでどれかを引き渡さなければならない場合、役に立たない不良品は除外して、その他の良品から選んで引き渡してください。
原文
どれにするかをいつ決めることができるか
第411条

どれを引き渡すのかを決めるのは、引き渡しの時点ではなくて、仮予約をした時点でも決められます。

しかし、仮予約した人より先に誰かがそれを自分のものにしてしまったら、その人の権利の方が優先になります。
原文
第2節 債権によって何をしなければならないのか

第二節 債権の効力

第1款 債務を果たさないとどうなるか

第一款 債務不履行の責任等

いつ債務を果たさなければならなくなるのか
第412条

債務をいつまでに果たすか期限が決められている場合、その期限が来た時から債務遅れの責任を負うことになります。
2

最初から期限は決めていないけれども、なんらかの理由で債務を果たす期限が決まるようになっている場合、その期限が来たことが分かった直後に債務を果たすことができなければ、そこから債務遅れの責任を負うことになります。
3

債務をいつ果たさなければならないかを決めていない場合、債務を果たすように要求された時点ですぐに果たすことができなければ、そこから債務遅れの責任を負うことになります。
原文
そもそも果たせない債務に対して
第412条の2

そもそも無茶苦茶な内容の契約だったり、誰の目で見ても無理な内容の契約による果たせない債務に対して、これを果たせと請求することはできません。
2

取り交わした時点で果たせない債務内容の契約だったとしても、そのせいで負った損害に対して賠償を請求することは認められないわけではありません。

債務が果たせない場合の損賠賠償の請求について詳しくは、第415条に規定されています。
“そもそも債務果たせない状態”のことを《履行不能》といいます。
原文
相手が受け取らないのだから
第413条

債務を果たすため、ものを届けようとしたのに相手が受け取ってくれなかったり、受け取ってもらうことができない状況の場合は、ちゃんと保管をしておけば、ひとまず契約上の問題にはなりえません。
2

相手が受け取ってもらえないせいで、配達や保管などの経費が余分にかかってしまった場合、その負担は債権者側ということになります。
原文
届けられないのか、受け取ってもらえないのかによって
第413条の2

債務者のせいで届けることが遅れている状況の中で、ものを届けることができない事態になってしまったら、その責任は債務者が負わなければなりません。
2

債権者のせいで届けられるのに受け取ってもらえない状況の中で、債務者にも債権者にも責任がないにも関わらず届けることができない事態になってしまったら、その被害の影響は債権者が負わなければなりません。
“だれかのせい”のことを《帰責事由》といいます。
原文
債務を果たしてくれない時は
第414条

わかっているのに、債務を果たそうとしない人に対して、債権者は、裁判所から「債務を果たすように!」と命じてもらうように要求することができます。

裁判所からの命令は、民事執行法や強制執行の手続に関する各種法令の規定に従って行われるもので、直接強制、代替執行、間接強制などの手続きがあります。

とはいえ、債務の内容によっては、物理的、時間的な理由により、どうしても債務を果たすことができない場合もありますので、そんな時は裁判所に要求されたからといってもどうにもなりません。
2

以上、債務が果たされない時には、損害賠償をすることが認められます。
“簡単に債務を果たすことができない場合”というのは、意識不明で入院している人に「肉体労働をしろ!」というような状況のことだと思います。
原文
債務を果たさないと損害賠償
第415条

ちゃんと債務を果たしてくれない場合、そのせいで被った損害に対して賠償を求めることができます。

とはいえ、取り交わした契約の中に債務を果たすことができない原因があったり、社会常識的に債務者のせいではない原因が発生した場合は、損害賠償の請求ができないこともあります。
2

次の場合は、債務を果たしてもらう代わりに損害賠償を請求してもかまいません。

物理的に債務を果たすことが無理な場合

相手が「どうしても債務を果たさない」といってきた場合

債務を果たしてもらう契約が解除されてしまった場合や、債務を果たしてもらえないために契約を解除することができるようになった場合
原文
損害が出た分が損害賠償
第416条

債務を果たさないために損害を生じさせたら、その損害に対する賠償を請求されることになります。
2

想定外の理由で債務を果たせない場合であっても、「債務を果たせないと損害賠償だよね」とわかっている場合は、賠償を請求されることになります。
原文
損害賠償はお金で
第417条

損害賠償は、特に当事者間での取り決めがなければ、お金で解決することとします。
原文
将来の利益への損害賠償を減らす利息の利率
第417条の2

将来もらえる利益に対して損害を与えてしまうと、その損害賠償は将来ではなくて今すぐ支払うことが必要になります。

賠償を受け取る側は、想定よりも早い時期に利益を受け取ることができるので、この期間にかかる利息を余分に受け取ることになります。

賠償を余分に受け取るのは理にかなわないので、損害賠償の請求が認められる時点の法定利率で利息を計算して、その利息の分は賠償を減らすことが認められます。
2難文

将来支払わなければならない費用に対して、今すぐ損害賠償を行う場合についても、早まった期間分の利息は、損害賠償の請求が認められる時点での法定利率で利息を計算して、その利息の分は賠償を減らすことが認められます。
“将来もらえる利益に対する損害賠償を利息分減らす”ことを《中間利息の控除》といいます。
“将来支払わなければならない費用に対して、今すぐ損害賠償を行う場合”というのが具体的にどんなケースなのかピンと来ていません。
原文
過失相殺
第418条

次の場合は、裁判所が損害賠償するように命じるにあたって、次の事情を考慮して責任と賠償を決めることになります。
  • 債権者の落ち度のせいで債務が果たせない場合
  • 債権者の落ち度のせいで損害が発生したり、被害が拡大した場合
原文
債務がお金の支払いの場合限定の決まり事
第419条

支払ってもらえるはずのお金をな支払ってもらえないため損害賠償を請求する際は、支払い遅れの責任を負う必要が生じた時点での法定利率で利息も請求をすることができます。

しかし、あらかじめ契約で利率を決めていて、その利率が法定利率よりも高い場合は、契約した利率で利息を請求することができます。
2

支払いが遅れたら、そのために損害を受けていようがいまいが、損害賠償を請求することができます。
3

支払いが遅れたら、たとえ不可抗力によって物理的にお金の支払いができない場合であろうがなかろうが、損害賠償を請求されることになります。
原文
賠償金の額を予め決めておくと
第420条

債務が果たされないことにそなえて、予め当事者の間で損害賠償の金額を定めておくことができます。
2

予め損害賠償の金額が定められておいたとしても、それによって「債務を果たすように求めること」や「契約を取り消すように求めること」を禁じることはありません。
3

《違約金》という名目で金額が定められていたとしたら、「損害賠償の金額を定めていたんだよね」ということになります。
原文
第421条

損害賠償の金額を定める代わりに、予め損害賠償として他のなにかを充てることを定めていた場合も、第420条の規定と同じように適用することとします。
原文
損害賠償を済ませたら
第422条

全ての損害賠償の支払いを済ませたら、本来の債務を果たしていなくても、その義務は果たしたことになります。
原文
保険金を受け取ったなら
第422条の2

アクシデントで保険金を受け取ることができるのであれば、アクシデントによって債務を果たしてもらえない債権者がいたら、被った損害の分は保険金を受け取る権利を譲らせたり、賠償を請求することが認められます。
“債務者が受け取った保険金を損害賠償の対象とすること”を、《代償請求権》といいます。
原文
第2款 やる気のない債務者への対応

第二款 債権者代位権

やるきのない債務者に代わって
第423条

やる気のない債務者が債務を果たしてくれないのを何とかする必要がある場合、債務に該当する分であれば債務者の持つ権利を債権者が代わりに使ってしまうことができます。

とはいえ、その債務者以外の人には譲ることができない権利や差し押さえが禁止されている権利までは、代わりに使うわけにはいきません。

債権者が代わりに使うことが認められた債務者の持つ権利を《被代位権利》といいます。
2

やる気のない債務者の代わりに権利を行使するのは、債権を行使できる時期が来ている場合に限られます。

しかしそんな債務者にそのまま任せておくと、その権利が失くなってしまうおそれがある場合に、それを維持するためであれば債務者の代わりに権利をとっておくことが認められます。
3

《被代位権利》が認められる債権者であっても、強制執行ば認められない状況では、この権利を使うことはできません。
“債務者以外の人には譲ることができない権利”とは、例えば、運転免許のような資格にかかわる権利や、親族だけに認められる相続を受ける権利などのことだそうで、《債務者の一身に専属する権利》といいます。
原文
自分の分だけ代わりに使う
第423条の2

何人かで分割することができる形態の《被代位権利》であれば、自分の債権に該当する分だけこの権利を使うことが認められます。
原文
お金やものが債権者に渡ったら
第423条の3

債務を果たさない債務者の権利がお金や物を受け取ることだったら、《被代位権利》を使って自分にお金を支払うようにさせたり、ものを引き渡すようにすることが認められます。

お金の支払いや、ものの引き渡しを受けたら、債務者は債務を果たしたことになり、《被代位権利》も消滅します。
原文
債務者への債務は果たされたことに
第423条の4

債権者にお金を支払ったり、ものを引き渡したら、債権者に債務を果たさない債務者に対する債務が果たされたことになり、債務者からの請求を受けるいわれもなくなります。
原文
債務者は取り立てをしてもかまわない
第423条の5

債権者が《被代位権利》を使われたとしても、そのだけでは債務者が自分の債権を取り立てたり、人に譲ったりすることができなくなった、というわけではありません。

債権者からは《被代位権利》による取り立てを、債務者からは本来の債務としての取り立てを受けた人は、必ずしも《被代位権利》の方を優先的に果たさなければならないということはありません。
原文
《被代位権利》の訴えを起こしたら
第423条の6

債権者が《被代位権利》を認めてもらうために裁判所に訴えを起こしたら、遅れることなく債務者にそのことを知らせる必要があります。
原文
登記や登録をしてくれない場合も
第423条の7

権利を獲得したことを証明するためには登記や登録をすることが必要な案件で、相手がその手続きをとってくれない場合、自分で登記や登録の手続きをしてもかまいません。

相手の代わって自分が登記や登録の手続きを行う場合の詳細は、次の規定を同じように適用します。

  • 債務者への債務は果たされたことになる規定
    第423条の4

  • 債務者は取り立てをしてもかまわないことに関する規定
    第423条の5

  • 《被代位権利》の訴えを起こした場合の規定
    第423条の6
原文
第3款 債権者に迷惑をかけようとしたら取り消しに

第三款 詐害行為取消権

第1目 詐害行為なら取り消しできる

第一目 詐害行為取消権の要件

迷惑な約束事の取り消しの仕方
第424条

債務者が、債権者に迷惑をかけることや、支払いを妨げることを目的とした行いに対して、債権者は裁判所に止めさせるように要求できます。

とはいえ、その行いをした時点で、その行いにより利益を得た相手が債務者の本当の目的を知らなかった場合は、その行いを止めさせられない場合もあります。
2

直接的には財産を受け取る権利に該当しない相続や離婚については、債権者に迷惑をかけることを目的にしていたとしても、裁判所に止めさせる対象にはなりません。
3

債権者が、迷惑をかけることなどを目的とした債務者の行為を止めさせられるのは、そのような事態になる以前に交わされた取引や約束事による債権に関してです。
4

強制執行をしたとしても、その債権を実現できないような案件については、迷惑をかけることなどを目的とした行いをやめさせることはできません。
原文
財産を処分しただけでも《詐害行為》になる場合
第424条の2

債務を負っている人が、次の項目全てに該当する状況で自分の財産を処分した上、金銭や金目のものを手に入れていたら、《詐害行為》に該当しますので、債権者は債務者がした処分を止めさせられます。

債務者の所有する不動産を売却したり手放すことにより、債権者に対して財産を隠して、引き渡せないようにした場合

債務者が対価として受け取った金銭や財産を隠して、返還できなくしようとした場合

財産の処分を引き受けた人が、「債務者は債権者に《詐害行為》をする気でいる」ことを知っていた場合
原文
特定の債権者とつるんで《詐害行為》をしたら
第424条の3

債務を負っている人が、次の項目のどちらにも該当する状況で、自分の財産を特定の債権者にだけ担保として差し出したり、特定の債権者に対する債務だけを果たした場合、《詐害行為》に該当するので、債権者は債務者がしたことを止めさせられます。

債務者が事実上の破産状況に陥った状況で行った場合

特定の債権者が、「債務者は債権者に《詐害行為》をする気でいる」ことを知っていた場合
2

債務を負っている人が、次の項目のどちらにも該当する状況で、そもそも果たす必要のない債務や、果たす時期に来ていない債務に対して担保を差し出したり、債務を果たした場合、《詐害行為》に該当するので、債権者がしたことを止めさせられます。

債務者が事実上の破産状況に陥ちいる三十日前以降に行った場合

果たす必要のない債務に対する債権者が、「債務者は債権者に《詐害行為》をする気でいる」ことを知っていた場合
原文
余分に支払って《詐害行為》をしたら
第424条の4

債務を負っている人が、特定の債務を果たすために適正な価値よりも余分に支払いをして、債権者に迷惑をかけようとしたりや、支払いを妨げようとしたら、破産しようとしていなくても、《詐害行為》に該当するので、債権者は債務者が余分に支払いをすることを止めさせられます。

この場合、余分に支払いを受けようとした人は、債務者が《詐害行為》をしようとしていることを知らなくてもかまいません。

お金の支払いに限らず、余分にものを譲り渡そうとした場合も該当します。
原文
次々と財産を譲り渡して《詐害行為》をしたら
第424条の5

《詐害行為》に該当するので、債務者が財産などを他の人に移動しようとしたことを止めさせようとした際に、その財産がすでに別の人へと移動していた場合、次のケースに該当したら、その財産を受け取ろうとした人に対しても、それを止めさせることができます。

最初に財産を受け取った人も、その人から財産を受け取った人も、「債務者は債権者に《詐害行為》をする気でいる」ことを知っていたケース

次々に財産が譲り渡された場合、それぞれの人全員が「債務者は債権者に《詐害行為》をする気でいる」ことを知っていたケース
原文
第2目 詐害行為の取り消しの仕方

第二目 詐害行為取消権の行使の方法等

取り消しが認められたら財産を返還
第424条の6

《詐害行為》による取り消しが認められたら、債務者から財産を譲り受けた人は、受け取った財産を返還しなければなりません。

返還が命じられた時点で、手元にその財産が残っていなかったら、代わりに見合うお金で支払いをさせられることになります。
2

《詐害行為》による取り消しが認められたら、債務者から財産を譲り受けた人からさらに財産を譲り受けた人は、受け取った財産を返還しなければなりません。

返還が命じられた時点で、手元にその財産が残っていなかったら、代わりに見合うお金で支払いをさせられることになります。
原文
《詐害行為》に関する訴えの被告
第424条の7

《詐害行為》に関する訴えが起こされたら、その場合の被告を次のようになります。

債務者から財産を譲り渡された場合は、その財産を受け取った人

債務者から財産を譲り受けた人からさらにその財産を譲り渡された場合は、その財産を受け取った人
2

《詐害行為》に関する訴えが起こしたら、取り急ぎ訴状に関する情報を債務者に知らせる必要があります。
原文
自分の債権い該当する分量だけ取り消すことも
第424条の8

《詐害行為》の取り消しを請求する場合、債務者がしたことの内、自分の債権に該当する分量だけを取り消してもらうことができます。

ただし、債務者のしたことが内容的に切り分けられない場合は、その分量だけ取り消すというわけにはいきません。
2

債務者のしたことがお金に置き換わる場合は、自分の債権の金額の分だけ取り消してもらうことができます。
原文
直接債権者に支払うことも
第424条の9

詐害行為の取り消しにあたり、債務者のしたことがお金に置き換わる場合は、そのお金を債務者に返還するのではなく、直接債権者に支払うことが認められます。

なお、直接債権者に支払いをした場合、その分の債務者への支払いの義務は無くなります。
2

債務者から財産を譲り受けた人や、さらにまた譲り受けた人に対しても、お金を直接債権者に支払うことが認められ、その分の支払いの義務が無くなります。
原文
第3目 裁判で《詐害行為》が認められたら

第三目 詐害行為取消権の行使の効果

裁判で認められたら、他の債権者にも
第425条

ある債権者が起こした裁判で《詐害行為》に対する取り消しが認められたら、当然その債務者は《詐害行為》を止めなければなりません。

同時に、他の債権者に対しても、《詐害行為》が認められ、この債務者は他の債権者に対してもこの《詐害行為》を止めなければなりません。
原文
債務者から譲り受けた財産を返すことになったら
第425条の2

《詐害行為》の取り消しが認められたら、債務者から財産を譲り受けた人は、そのための対価や代金の返還を請求することができます。

請求の時点で、債務者が受け取った対価を返還することができない状況になっていたら、その分のお金で支払いを請求することもできます。
債務者から財産を譲り受けた人が、そのために債務者にしてあげたことを《反対給付》といいます。
原文
財産を受け取った人が無関係になるには
第425条の3

《詐害行為》の取り消しが認められたために、譲り受けた財産を返還し、債務者からその対価の財産や代金が返還されれば、財産を受け取った人は一応無関係ということになります。
原文
受け取った人から財産を受け取った人には
第425条の4

債務者に手を貸すために、債務者の財産を受け取った人からに譲り受けたために《詐害行為》の取り消しが認められたら、次の状況に応じて債務者にその対価を取り戻すための請求をすることが認められます。

ただし、色々と手間暇がかかったからといって、財産を受け取るために自分が支払った対価の価値を超えて余計な請求をしてはなりません。

債務者から財産を受け取るにあたって対価を支払ったり、財産を引き渡していた場合(第425条の2)は、支払った対価や引き渡した財産を取り戻す請求。

債務者が財産を引き渡すにあたって、代償を要求していた場合(第425条の3)は、もはや債務者とは無関係であることを認めさせる請求。
原文
第4目 詐害行為の取り消しを訴えられる期間

第四目 詐害行為取消権の期間の制限

第426条

自分に迷惑をかけようとして何かをされたと気づいた時から2年以内にしないと、《詐害行為》の取り消しは訴えられなくなります。

自分に迷惑をかけようとして何かをされたと気づかないまま10年が経過したら、《詐害行為》の取り消しは訴えられなくなります。
原文
第3節 債務者や債権者の関係が複雑な場合

第三節 多数当事者の債権及び債務

第1款 この節全般に言えること

第一款 総則

数人いたら、債権・債務は原則等分に
第427条

一つの債権に対して、複数の債権者がいる場合、個別の取り決めをしていないならば、債権は各自が等分に保有していることになります。

一つの債務に対して、複数の債務者がいる場合は、個別の取り決めをしていないならば、債務は各自が等分に負うことになります。
原文
第2款 分けられない債権、分けられない債務

第二款 不可分債権及び不可分債務

分けられない債権
第428条

債権者は複数いても、債権として相手にしてもらう何かがその人数分に分けられることではない場合、連帯債権(第3編第1章第3節第3款)の規定を同じように適用することとします。

ただし次の規定は除きます。
  • 連帯債務者の一人が契約を更新したり免除した場合の規定
    433条
  • 債務者と連帯債権者の両方の立場に立つことになった場合の規定
    第435条
原文
分割できない債権の債権者の一人だけ
第429条

そもそも分割できない債権を複数の債権者たちが保有しているとします。

その内の一人だけが、契約や約束の条件を変えたとしても、あるいは債務を免除したとしても、他の債権者たちは元の契約や約束をまるまる全部果たすように要求することができます。

この場合、条件を変えたり債務を免除した分の債権の分もまるまる果たしていますので、その果たしすぎた債務の分はお金に換算するなどして債権者に返してあげてください。
原文
数人で分割できない債務の場合
第430条

債務者は複数いても、債務として相手にしなければならない何かがその人数分に分けられることではない場合、連帯債務(第3編第1章第三節第四款)の規定を同じように適用することとします。

ただし、分けることができない債務の規定なのだから、その内の一人がその債権を得るということはありえないので、このような場合の規定(第440条)は適用の対象にはなりません。
原文
債権・債務が分割できるようになったら
第431条

もともと分割できないはずの債権が分割できるようになった場合は、債権者同士で債権を分け合って自分の債権の範囲を確定し、その範囲に限って債務を果たすように要求できることとなります。

同じように分割できないはずの債務が分割できるようになった場合は、債務者同士で債務を分け合って自分の債務の範囲を確定し、その範囲に限って債務を果たす責任を負うこととなります。
原文
第3款 複数の人で連帯債権者となったら

第三款 連帯債権

連帯債権の請求の仕方
第432条

一つの債権に関して、複数の人で連帯債権者となった場合、どの債権者でも債務者に債務を果たすよう請求できます。

債務者はどの債権者に対して債務を果たしても、他の全ての連帯債権者に債務を果たしたことが認められます。

一つの連帯債権が分割できる場合、どの連帯債権者でも債務者に部分的に債務を果たすよう請求することもできます。

債務者は部分的に債務を果たした場合でも、他の全ての連帯債権者に部分的に債務を果たしたことが認められます。
原文
連帯債務者の一人が契約を更新したり免除したら
第433条難文

連帯債権者の一人が債務者との間で連帯債権の契約を更新したら、他の連帯債権者はこれによって失った利益分の債務の請求ができなくなります。

連帯債権者の一人が連帯債務の契約で債務を果たすことを免除したら、他の連帯債権者は免除した分の債務の請求ができなくなります。
原文
誰と相殺をしても
第434条

連帯債権の場合、誰に対して債務を果たしても他の全ての債権者に連帯債権の債務を果たしたことが認められるのと同様に、債権者の一人と相殺をしたら、他のすべての債権者に連帯債権の債務を相殺したことになります。
原文
債務者と連帯債権者の両方の立場に立つことになったら
第435条

連帯債権の場合、誰に対して債務を果たしても他の全ての債権者に連帯債権の債務を果たしたことが認められるのと同様に、債務者が債権者の一人と両方の立場にも立つことになったら、他のすべての債権者に連帯債権の債務を果たしたことになります。
原文
それ以外のことは何も影響しない
第435条の2

下記の通り、連帯債権の款で規定されていること以外で連帯債権者の一人と債務者の間で何らかの取り決めをしたとしても、他の連帯債権者に対しては何も影響を及ぼしません。
  • 連帯債権者の一人からの請求と支払い
    第432条
  • 連帯債権者の一人との間での更新と免除
    第433条
  • 連帯債権者の誰かと相殺したら
    第434条
  • 連帯債権者と債務者の両方の立場に
    第435条

とはいえ、他の連帯債権者と債務者との間で合意ができれば、その取り決めは有効となります。
原文
第4款 連帯して債務を負担する際は

第四款 連帯債務

その内の誰に債務を果たせというのか
第436条

法令や当人同士の約束事として債務を複数の人で分担することが規定される場合、債権者が「債務を果たせ」と要求する相手は、債務者の内の誰か一人にしてもよし、まとめて全員に要求するもよし、一人ずつ順番に要求するもよし、とします。
“法令や当人同士の約束事として債務を複数の人で分担すること”を《連帯債務》といいます。
原文
その内の一人だけ抜けても債務に影響は
第437条

連帯債務者の内の一部の人だけが取引内容や約束事が無効になったり、取り消しをして無かった事にしたとしても、その人以外の連帯債務を負っている人たちの債務に、影響はありません。
原文
その内の一人にだけ取引内容を変更すると
第438条

連帯債務者の内の一部の人だけとの間で、取引や約束事を新しい内容のものに変更したとしたら、その一部の人との間で新たに別の債務に引き継ぎしたことになります。

したがって、もともとの債権は消滅し、他の債務者たちはもともとの債務を負う必要がなくなります。
原文
その内の一人が相殺できたら
第439条

連帯債務者の内の一部の人が、債権者に対して逆に債権を保有していたら、債務と逆の債権とを差し引きをしようと思えばできないことはありません。

そうすると全員分の債権が減額されたり、チャラになったりします。
2

連帯債務者の内の一部の人が債権者に対して逆に債権を保有していたとしても、無理に相殺をする必要はありません。

しかし、この連帯債務者が相殺をしない場合、他の債務者たちは「相殺分があるんだから、その分の負担はしない」という言い分は認められます。
“差し引き”して、債権を減額してもらったり、チャラにしてもらうことを《相殺》といいます。
原文
その内の一人がその債権を得たら
第440条

連帯債務者の一部の人が、債権者側の権利を得たら、自分の債務を自分の権利で果たしたことになります。

これでこの人は、連帯債務の全体の内、その割合分の債務を果たしたことになります。
“債務と債権の両方を一人が持つこと”を《混同》といいます。
原文
その内の一人にだけしたことによって影響を受けること
第441条

連帯債務者の内の一部の人にだけしたことであっても、次の規定は他の債務者に対しても影響を及ぼします。
  • その内の一人にだけ取引内容を変更したら
    第438条
  • その内の一人が相殺できたら全員の分がチャラに
    第439条第一項)
  • その内の一人がその債権を得たら
    第440条

ただし、連帯債務者の内の誰かと債権者との間でこれとは別の取り決めが交わされた場合、その連帯債務者に対してはその約束が優先されます。
原文
一人でみんなの分まで債務を果たしたら
第442条

連帯債務者の一人が自分の財産を使って他の人の分まで債務を果たしたら、他の人たちに対して「債務を果たすためにした支出分について、各自の債務の割合分のお金を支払ってください」と要求することが認められます。

この要求は、債務を果たすための負担が、自分の割当分を超えているかどうかは問いません。
2

債務を果たすための負担とは別に、債務を果たしてから各自の割り当て分のお金を受け取るまでの間の利息と、やむを得ずかかった経費や損害賠償も要求することが認められます。
原文
債務を果たしたことを他の債務者に伝えないと
第443条

その気になれば相殺できるのに、他の連帯債務者が黙ってその債務を果たしてしまった上に、連帯債務者各々の負担分の支払いを請求されても、相殺ができることを理由にその支払いを拒むことが認められます。

その支払いを拒んだ場合、その連帯債務者はこちらから支払いを受けられない代わりに、債権者に対して相殺をしてその分の債務を精算してもらうことが認められます。
2

自分の財産で債務を果たしても、他の連帯債務者にそのことを知らせなかったために、他の人が二重に債務を果たしら、知らなかった他の人には落ち度はありませんから、その人への各自の負担分の支払いは請求できなくなります。
2項の条文の中には、重複して果たしてしまった人の債務分を取り返す方法の記載はないようです。
原文
その中に全く債務を果たす資力のない人がいたら
第444条

連帯債務者の中に全く債務を果たす資力のない人がいたら、その人の分は、債務を果たした人を含む他の連帯債務者が分担してなんとかしてください。
2

全く債務を果たす資力のない人の負担分を、債務を果たした人を含む他の連帯債務者が分担する場合、分担する全員が同じ割合で負担してください。
3

他の連帯債務者の分まで債務を果たしたから、全く債務を果たす資力のない人の負担分を等分して、他の連帯債務者に分担してもらおうとしても、過失があると、負担分を分担してもらえないことがあります。
原文
債務を果たさなくて済んだと思っていても
第445条

連帯債務者の一人に対して、その債務を負わずに済むことになった場合でも、他の人の分まで債務を果たした連帯債務者から、各自の分担分を請求されたら、これを支払わなければなりません。

連帯債務者の一人に対して、債務の時効が成立したとしても、他の人の分まで債務を果たした連帯債務者から、各自の分担分を請求されたら、これを支払わなければなりません。
原文
第5款 いざとなったら肩代わりする債務

第五款 保証債務

第1目 この歉全般にいえること

第一目 総則

保証人の役割と契約書について
第446条

契約した当人の債務者が債務を果たさない場合、《保証人》が肩代わりすることになります。
2

《保証》の契約は、後々もめないように必ず契約書を取り交わしてください。
3

《保証》の契約書は、e-mailやデジタルデータで行なってもOKです。
原文
保証をしたらどこまで面倒をみるのか
第447条

《保証》をしたら、契約した当人が果たさない債務とともに、その利息・違約金・損害賠償、そしてその債務に関連して生じた案件についても何とかしなければなりません。
2

保証債務の違約金や損害賠償は、保証人と債権者との間で金額を予め決めておくように約束することができます。
原文
債務より重い保証はできません
第448条

どんな形であっても、もともとの債務よりも、保証したことにより負う債務の方が重くなることは認められません。

もともとの債務より重い保証契約をしていたら、その契約はもともとの債務と同じ重さの保証をしたことにさせます。
2

保証契約をした後で、もともとの債務の内容がよりハードなものになったとしたら、ハードになった分は保証の対象にはなりません。
原文
取り消すことができる債務の保証
第449条

債務者が「未成年者」や「成年被後見人」だったら債務を取り消すことができますが、いくら債務の保証をしようとしても、債務が取り消されたら誰も彼らと契約をしてくれなくなります。

そのようなケースでは、彼らの債務とは別に、同じ内容で取り消しができない債務を仮に設定して、こちらの債務を保証してもらうことにして、もともとの債務が不履行や取り消しになっても債権者への保証が行われるようにします。
原文
保証人の要件
第450条

債務者側で保証人を立てる必要がある場合、その保証人は以下の条件を満たす人でなければなりません。

ちゃんとした契約や約束事をすることが民法で認められている人

債務を金銭的に果たすことができる人
2

保証を任せた後で、その人が上記の条件を満たすことができなくなったら、債権者は、代わりに条件を満たす別の人に保証人の交代を要求することができます。
3

債権者が自分で保証人を指名していた場合は、前項のように保証人の交代を要求することはできません。
原文
保証人の代わりに担保を
第451条

保証人を立てなければならないのに、債務者の側ではどうしても立てられない場合は、保証人に代わる担保を差し出しすことも認められます。
原文
保証人より先に債務者に
第452条

債権者から肩代わりの要求があっても、保証人は「先に債務者に債務を果たせといってくれ」と要求し返すことができます。

ところがその債務者が破産していたり、行方不明になっていたらそうもいきませんので、保証人が肩代わりの要求をされることになります。
先に債務者に「債務を果たせと言ってくれ」ということを《催告》といいます。
原文
保証人に、債務を果たせないことはないと証明されたら
第453条

「債務を果たせと催促したにもかかわらず、ちっとも債務を果たさないのに、実は財産があるのでその債務を果たせないわけではない」ということを保証人が証明したら、債務者は自分の財産で債務をなんとかしなければ、裁判所に自分の財産を差し押さえられることになります。
財産があることを証明して、先にそれで債務を果たさせるように要求することを《検索の抗弁》といいます。
原文
連帯保証人になったら
第454条

連帯保証人になったら、債権者に向かって「先に債務者に債務を果たしてもらってくれ」とか、「債務者に財産があるのだからそれで先に何とかしてもらってくれ」といって追い返すことはできません。
原文
債務者が先だと認められたのに
第455条

その債務者は自分で債務を果たせないわけではないことが証明されていて、保証人よりも先に債務者の方から債務を果たさなければならないことになっていたにもかかわらず、債権者がそうしなかったせいで本当に債務を果たせなくなったとします。

そんな場合に、保証人としては「債権者のせいなんだから、それで回収できなかった分まで自分が負担する必要はないよね」という主張はその通りに認めてもらえます。
原文
保証人が複数いる場合
第456条

保証人が複数いる場合、実際には個々の負担分がそれぞれ異なっていたとしても、第427条の規定にあるように個別の取り決めをしていなければ、保証人の保証債務は各自等分に負うことになります。
原文
債務者に時効があったり、相殺できる債権があったら
第457条

「債務を果たせ」と訴えたりして時効のカウントをリセットをしたら、その保証人に対する時効のカウントはリセットされます。
2

債務者が債権者に対して債権があれば、保証人はそれらを相殺させて、保証の債務をまぬがれることができます。
3

債務者が債権者に対して債権があるのに相殺しようとしない場合、保証人は相殺できる分について保証の債務を拒否することが認められます。

債務者が債権者に対する取消をさせる権利や、解除をさせる権利を使って債務を軽くしようとしない場合も、保証人は取り消しや解除できる分について保証の債務を拒否することが認められます。
原文
連帯保証をしたら連帯債務と同じように
第458条

連帯保証人になったら、次の規定は債務者に対するのと同じように保証人に対しても適用されます。
  • その内の一人にだけ取引内容を変更する場合の規定
    第438条
  • その内の一人が相殺できた場合の規定
    第439条第一項)
  • その内の一人がその債権を得た場合の規定
    第440条
  • その内の一人がしたことによって影響を受ける場合の規定
    第441条
原文
債務がどうなっているかを保証人が尋ねたら
第458条の2

債務者から頼まれてなった保証人から、債務に関して次のような詳しいことを尋ねられたら、債権者は無駄に時間をかけずに情報を伝えなければなりません。
  • 債務の元本とその利息
  • 違約金や損害賠償
  • 果たす必要がある債務の状況やその残額
  • 今すぐ果たす必要がある債務の状況やその残額
原文
繰り上げになったらお知らせを
第458条の3

保証を受けている債務者が、なんらかの事情で債務の猶予期間を繰り上げなければならないことになったら、債権者の方が保証人にそのことを2ヶ月以内に知らせてあげる必要があります。
2

もし2ヶ月以内に猶予期間を繰り上げる必要があることを保証人に伝えていないと、保証人に期間を繰り上げて債務の保証をしてもらうことは認められません。

ただし、なんらかの事情が生じなくても、猶予期間が繰り上げられることが認められている保証契約を結んでいるケースでは、わざわざ通知の対象とはなりません。
3

法人が保証人になっているケースでは、保証契約のことをきちんと理解しているはずなので、わざわざ通知をする必要はありません。
原文
頼まれて保証人になったがために
第459条

債務者に頼まれて保証人になったがために、債務者の代わりに債務を果たすために自分の財産を使ったら、その債務者に対して「使った財産の分を支払え」と請求することができます。
2

利息分とやむを得ずかかった経費や損害の賠償も要求してかまわないという規定(第442条第2項)は、前項の場合にも同じように適用することとします。
原文
債務者に頼まれて保証人になったので、期限の前に
第459条の2

債務者に頼まれて保証人になったケースで、債務の期限が来る前に保証人が債務者の代わりに債務を果たした場合、保証人はそれによって債務者が果たさずに済んだ債務の分を債務者に請求することができます。

せっかく保証人が代わりに債務を果たしてくれたのに、債務者が「債権者に対する債権があるから、それで相殺にするつもりだったのに、なんで余計なことをしたんだ」と言われたら、「だったら改めて相殺によって債務を果たしてくれ」と要請することができます。
2

期限の前に頼まれた保証人が代わりに果たした債務の分を請求するにあたり、本来の期限を超えても債務者が請求に応えない場合は、本来の期限より後の分については利息をつけることが認められます。

この場合の利率は法定利率を適用されます。

さらに、債務者が期限を超えても請求に応えないせいでかかった費用や損害があれば、これについても請求することが認められます。
3

もちろん、本来の期限が来るまで債務者は保証人の請求に応える必要はありません。
原文
頼まれて保証人になっていたら
第460条

債務者に頼まれて保証人になったのに、次のような事態におちいったら、すぐにも代わりに果たすことになるかもしれない債務分の賠償を要求することができます。

債務者が破産して、債権者が残された財産を平等に配分するためのグループに加わろうとしない時。

債務を果たす期限を迎えた時。ただし、保証契約をした後で、債権者から「もうしばらく債務を待つてもかまわない」といわれている内は、その債権者の言葉に甘えて、債務を果たすのを待つことになります。

裁判で、「ちゃんと債務を果たしなさい」と命じられた時。
原文
債務者が保証人に賠償する場合
第461条

債務者が破産したなどの事情によって債務者が保証人に賠償をすることになったら、債務者は債権者に対する責任を免れることになります。

具体的には、保証人から債権者に債務を果たし終わるまでの間でも、「自分ではなくて保証人からの担保を出してもらうようにしてほしい」ということや、「自分は債務を果たさなくてもいいですね」ということを保証人から債権者に認めてもらえるように要請できます。

債権者に対する責任を免れる事情について詳しくは、第460条に記載されています。
2

債務者が保証人に対する賠償をしないで済む方法は、次の通りです。
  • 法務局に供託金を積んでおくこと。
  • 保証人に担保を差し出すこと。
  • 保証人に頼み込んで、賠償することを見逃してもらうこと。
原文
債務者から頼まれることなく保証人になったケースでも
第462条

債務者から頼まれることなく保証人になったケースでも、債務の期限が来る前に保証人が債務者の代わりに債務を果たした場合、保証人はそれによって債務者が果たさずに済んだ債務の分を債務者に請求することができます。

せっかく保証人が代わりに債務を果たしてくれたのに、債務者が「債権者に対する債権があるから、それで相殺にするつもりだったのに、なんで余計なことをしたんだ」と言われたら、「だったら改めて相殺によって債務を果たしてくれ」と要請することができます。
2

債務者が断ったにも関わらず、保証人が勝手に債務を果たした場合、受けた恩に見合う分は返還しなければなりません。

しかし、債務者には本当なら相殺できる債権があったので、保証人に債務を果たしてもらう必要がなかったような場合には、保証人はその分まで債務の恩のお返しを求めることはままならず、保証人が債権者にその相殺をしてもらうように話をつけなければなりません。
3

債務者から頼まれることなくなった保証人が、本来の期限が来る前に債務を果たした場合にも保証人は債務者に賠償を請求することができますが、本来の期限が来るまで債務者は保証人の請求に応える必要はありません。
原文
債務者と保証人が二重に債務を果たした場合
第463条

債務者から頼まれてなった保証人が、債務者には何もいわずに債務を果たしてあげたとします。

ところが債務者にしてみれば、本当は債務を果たさなくて済む正当な理由があったとしたら、「勝手なことをしてくれたんだから、自分は保証人に賠償はしない」という理屈は認められます。

債務者が債権者には相殺をして債務を果たして、保証人には賠償をしなかった場合、債務者が債権者に対して相殺してナシにした債権者の債務を保証人は自分に回すように要求することが認められます。
2

自分でちゃんと債務を果たしたことを債務者が保証人に知らせなかったせいで、保証人がわざわざ二重に債務を果たしてしまった場合、ひとまず保証人が債務を果たしたことがちゃんと認められます。
3

保証人が勝手に債務を果たした後に債務者が二重に債務を果たした場合や、保証人が債務を果たしたことを債務者に知らせなかったせいで債務者が二重に債務を果たした場合、ひとまず債務者が債務を果たしたことがちゃんと認められます。
原文
その内の一人の保証人は
第464条

連帯債務を負う人や、分割できない債務を負う人たちの一人のために保証人になった人が債務を果たした場合、他の債務者に対して、自分が彼らのために負担をした分については、返還を求めることが出来ます。
原文
複数の人がいっしょに保証人になったら
第465条

分割できない債務に対して、複数の人で保証人になって、その内の一人だけが債務者に代わってまるまる全部を自分の財産で果たしたら、次の規定を同じように適用します。
  • 一人がみんなの分の債務を果たした場合の規定
    第442条
  • 他の債務者に伝えずに一人で債務を果たした場合の規定
    第443条
  • その中に果たせない人がいる場合の規定
    第444条
2

債務の一部だけ負担する責任を請け負った保証人が、債務者に代わって自分の負担分を超える負債を果たした場合や、まるまる負債の全てを果たした場合、次の規定も同じように適用することができます。
  • 債務者が頼んでいない保証人には
    第462条

そのため、債務者が預かり知らぬ分まで負担した負債の返還をしてもらうためには、直接他の保証人の一人ひとりに返還の交渉をする必要があります。
原文
第2目 個人で根保証を引き受ける契約

第二目 個人根保証契約

個人で根保証を引き受ける場合の責任
第465条の2

個別の債務にとらわれず、いつもの取引の中で金額の変動が生じる債務を上限金額の範囲で保証することが認められています。

個人でその保証人になったら、上限金額の範囲で以下の項目に対する責任を負います。
  • もともとの借入金
  • もともとの借入金に対する利息
  • 契約通りにならなかった場合の違約金
  • 契約通りにならなかった場合の損害賠償やその他もろもろ
2

《個人根保証契約》は、上限金額を決めておかなければ有効になりません。
3

《個人根保証契約》は、必ず契約書を取り交わす必要があります。

《個人根保証契約》の契約書はデジタルデータでもかまいません。
“個別の債務にとらわれず、いつもの取引の中で金額の変動が生じる債務を上限金額の範囲で保証すること”を《根保証契約》といいます。
個人で《根保証契約》を結ぶことを《個人根保証契約》といいます。
原文
《個人貸金等根保証契約》の《元本確定期日》
第465条の3難文

お金を貸してもらったり、手形を割引してもらうことによって負担することになった債務を《貸金等債務》といいます。

《個人根保証契約》をするにあたって、負担することになる債務が《貸金等債務》がある場合の契約を《個人貸金等根保証契約》といいます。

《個人貸金等根保証契約》におけるメインの債務がいくらなのかを確定する期日を《元本確定期日》といいます。

《元本確定期日》は、《個人貸金等根保証契約》を結んだ日から5年後の日と定めたら無効となります。
2

《元本確定期日》を設定していない場合や、《元本確定期日》が無効となったら、自動的に「その契約をした日から3年後の日」になります。
3

一度決めた《元本確定期日》を変更しても、変更した日から5年後の日と定めたら無効となります。

ただし、《元本確定期日》が残り2ヶ月を切った時に、《元本確定期日》を変更前の期日から五年後の日と定めると、定めた日から5年後の日よりも長くなりますが、この場合は有効とします。
4

《個人貸金等根保証契約》は、デジタル情報でもかまわないので必ず決めた期日や変更した期日を記載した契約書を交わさないと、この契約は有効になりません。
原文
個人根保証契約の保証額を確定するのは
第465条の4

次の場合、《個人根保証契約》の保証する金額の変動を止めて債務の額を確定することになります。

ただし、第一項のケースでは、強制執行や担保の差し押さえが裁判所に認められた場合に限ります。

債権者が保証人の財産に対して裁判所に強制執行や保証人の財産の差押えを要請した場合。

この契約の債務者または保証人が破産した場合。

この契約の債務者または保証人がお亡くなりになった場合。
2

次の場合も《個人根保証契約》の保証する金額の変動を止めて債務の額を確定することになります。

ただし、第一項のケースでは、強制執行や担保の差し押さえが裁判所に認められた場合に限ります。

債権者が債務者の財産に対して裁判所に強制執行や保証人の財産の差押えを要請した場合。

債務者が破産した場合。
原文
法人の保証人の賠償の保証
第465条の5難文

《根保証契約》により保証人になった法人が債権者に保証をしたことに対して、債務を果たさない債務者からの賠償金を取りはぐれないためにさらに保証人を依頼した場合、債務の上限金額を定めていないと、契約に基づいて賠償を請求することが認められません。
2

《根保証契約》により保証人になった法人が債権者に保証をしたことに対して、債務を果たさない債務者からの賠償金を取りはぐれないためにさらに保証人を依頼した場合、《元本確定期日》を定めていないと、契約に基づいて賠償の保証を要求することは認められません。

設定した《元本確定期日》や、期日を変更した《元本確定期日》が、民法上の上限よりも長く定めたために無効となってしまった場合も、契約に基づいて賠償の保証を要求することは認められません。
3

債務者からの賠償金を取りはぐれないためにさらに保証人も法人であれば、第1項や第2項の場合でも、賠償の保証を要求することが認められます。
原文
第3目 お金儲けのためにした債務への保証契約には

第三目 事業に係る債務についての保証契約の特則

お金儲けのためには、公正証書を用意して
第465条の6

お金儲けのためにお金を借りることについて保証契約や根保証契約を結ぶには、予め公正証書を用意する必要があります。

この証書には、保証人になろうとする人が保証人になる意思があることをきちんと記載しておく必要があります。

この証書は保証契約を結ぶ前の1ヶ月以内の期間に作っておく必要があります。

2

お金儲けの保証のための公正証書を用意するには、次の段取りが必要です。

次のイまたはロの場合に応じて、公証人に対して次の内容を口頭で伝えること。

根保証以外の保証契約
  • 債務者と債権者
  • 借りる金額
  • 利息
  • 違約金、損害賠償
  • その他債務に関わるものがあるのかないのか、あればその内容
  • 債務者が債務を果たさない場合は全額を保証人が肩代わりする意思があること

    債務者との連帯保証の場合は、催促をしようがしまいが、本当は債務者が債務を果たせようが果たせまいが、他に保証人がいようといまいがに関わらず、自分が全額を肩代わりする意思があること

根保証契約
  • 債務者と債権者
  • 債務の範囲
  • 根保証契約の極度額
  • 元本確定期日について決め事があるのかないのか、あればその内容
  • 債務者が債務を果たさない場合
  • 極度額を上限に、根保証の対象として元本確定期日までに生じる以下の全額を保証人が肩代わりする意思があること
    • 債務の元本
    • 債務に関する利息
    • 違約金と損害賠償
    • その他債務に関わるもの
    元本確定期日以外にも、元本を確定することになる状況になれば、それまでに生じる全額が肩代わりする対象となります。

    債務者との連帯保証の場合は、催促をしようがしまいが、本当は債務者が債務を果たせようが果たせまいが、他に保証人がいようといまいがに関わらず、自分が全額を肩代わりする意思があること

公証人は聞き取った内容を書き取って、保証人になろうとする人に読み聞かせるか、読んで確認をすること。

保証人になろうとする人が、書き取り間違いの無いことを確認して承認し、署名と押印をすること。

なんらかの事情があって保証人が署名することができない場合は、公証人がその理由を書き添えれば、署名の代わりとして認められます。

書き取った証書に、きちんと段取りをふまえたことを書き添えて、公証人の署名を記し、押印すること。
3

これらの段取りは、保証人が法人の場合は必要ありません。
原文
話したり聞いたりするのが不自由な人には
第465条の7

口のきけない人が、お金儲けをする人の借金などの保証人になるため公正証書を作成するにあたり、口頭で必要事項を伝える場合、その人の言いたいことを通訳できる人に手伝ってもらうか、自分で証書を記入することが認められます。
2

耳の聞こえない人が、お金儲けをする人の借金などの保証人になるため公正証書を作成するにあたり、公証人が書き取った内容を読み聞かせる場合、公証人の言ったことを通訳できる人に手伝ってもらって確認することが認められます。
3

通訳に手伝ってもらったり、保証人になろうとする人が自分で証書を記入した場合は、そのことを作成した公正証書に公証人によ書き添えてもらう必要があります。
原文
賠償に備える保証契約にも
第465条の8

お金儲けのための借金に対する保証契約や根保証契約のせいで賠償をすることになった時に備える保証契約を結ぶ場合も、予め公正証書を用意する必要があり、公正証書を作るための段取りも必要です。

お金儲けのための借金に対する保証契約や根保証契約のせいで賠償をすることになった時に備える保証契約を結ぶ場合も、口や耳が不自由な人には特例の段取りが認められます。
2

法人が、お金儲けのための借金に対する保証契約や根保証契約のせいで賠償をすることになった時に備える保証契約を結ぶ場合、前項の規定は適用されません。
原文
公正証書の規定に該当しない人
第465条の9

お金儲けのための借金に対する保証人になろうとする人が以下に該当する場合は、公正証書を用意することに関連する規定は適用しません。

賠償をすることになった時に備える保証人になろうとする人が以下に該当する場合も、公正証書を用意することに関連する規定は適用しません。

債務者になるのが法人の場合で、保証人になろうとする人がその法人の理事や取締役、執行役などの場合。

債務者になるのが株式会社の場合で、保証人になろうとする人が以下に該当する場合。

その株式会社の議決権の過半数を握る大株主。

議決権の過半数を握る株主が株式会社の場合、その株式会社の議決権の過半数を握る大株主。

議決権の過半数を握る株主が法人で、その法人の議決権の過半数を握る株主が法人の場合、その法人の議決権の過半数を握る大株主。

債務者になるのが株式会社以外の法人の場合で、その法人の議決権過半数に相当する権利を持つ人。

債務者になる人が個人の場合で、その人と共同で事業を行っている人。

債務者になる人が経営者の場合で、その仕事を手伝っている配偶者。
原文
保証人を依頼するには正しい情報を
第465条の10

お金儲けのための借金に対する保証や根保証を依頼するには、必ずその相手に次の情報を開示しなければなりません。

財産と収支の状況。

他に債務や借金の有無、あればその内容。

保証の対象となる債務や借金のための担保が他の債務や借金の担保になっていたり、担保にしようとしていないかどうか。
2

上記の情報の開示漏れがあったり、うその情報を開示したために、信用して保証人になった場合、開示漏れやうそ情報であることを債権者が知っていたら、保証人を降りるために保証契約を取り消すことができます。

開示漏れやうそ情報を債権者が知らなかったとしても、その気になれば知ることができた場合も、保証人は保証契約を取り消すことができます。
3

保証人が法人の場合は、開示漏れやうそ情報により保証契約を取り消すことができません。
原文
第四節 債権を人に譲るには

第四節 債権の譲渡

債権は人に譲ることができる
第466条

債権というものは、人に譲り渡すことができます。

しかし、債権の内容的にその人に対してしか果たしてもらいようない場合もありますので、必ず譲り渡せるというものではありません。
2

債権債務の当事者同士がその譲渡の禁止や制限をしていたとしても、債権というものは、人に譲り渡すことができます。
3

債権債務の当事者同士がその譲渡の禁止や制限をしていることを知っていたのに、債権者から債務を譲り受けた人に対して、債務者は債務を果たすことを拒否することが認められます。

禁止や制限していることを知らなかったとしても、相当うっかりして気づかなかった場合も、債務者は債務を果たすことの拒否が認められます。

だからといって債務を果たさないくていいわけではないので、その場合はあくまでも元々の債権者に債務を果たすか、債務を解消することが必要です。
4

譲渡が禁止や制限されている債権だからという理由で、譲渡された債権者への債務を拒否した上に、元々の債権者へも債務を果たさない場合、一定の期間を設けて債務を果たすように催促を繰り返してください。

それでも債務を果たしてくれない場合、譲渡された債権者への債務を果たすことの拒否は認められなくなります。
原文
譲渡を制限していたら、供託でも
第466条の2

債務の内容はお金の支払いで、他の人に譲渡を禁じたはずなのに、債権が譲渡されたケースの規定です。

譲渡を禁じたことを理由として、譲り受けた人にお金を支払うことを拒否する場合、支払うべきお金を供託すれば、債務を果たしたことと同じ扱いになります。

供託をする場所は本来債務を果たすはずの地域の供託所となりますが、債権者の住所の地域が債務を果たすはずの場所だというケースでは、この債権を譲り受けた人の住所の地域の供託書に供託をしてください。
2

このようなケースで供託をした場合、元々の債権者とこの債権を譲り受けた人には、取り急ぎ供託をしたことを知らせる必要があります。
3

このようなケースで供託された場合、この債権を譲り受けた人に限り、供託されたお金の払い戻しを請求することができます。
原文
第466条の3

債務の内容はお金の支払いで、他の人に譲渡を禁じたはずなのに、債権が譲渡されたケースの規定です。

元々の債権者が破産してしまった場合、譲渡制限されていることを知っていた場合であっても、この債権を正当に譲り受けていれば、債務者に債務の分のお金を供託するように要求することが認められます。

この場合の供託先は元々の債務を果たすべき場所のエリアの供託所となります。

実際に債務者が供託をした時には、そのことを元々の債権者とこの債権を譲り受けた人に連絡をする必要があります。

供託されたお金は、この債権を譲り受けた人に限り、払い戻しを請求することができます。
原文
譲渡制限された債権が差し押さえられたら
第466条の4

譲渡したた元々の債権者が破産したので、譲り受けた債権者が強制執行による押さえが認められた場合、債務を供託させる手続きをするには及びません。
2

債権が譲り渡され、強制執行をされた場合でも、制限されていることを知っている相手に債権が譲渡された場合には、その相手に債務を果たすことを拒否することは認められます。

だからといって債務を果たさなくてもいいわけではないので、強制執行を受けないためには、元々の債権者に対して債務を果たすか、債務を見逃してもらう必要があります。

禁止や制限していることを知らなかったとしても、相当うっかりして気づかなかった場合も、債務者は債務を果たすことの拒否が認められます。
原文
金融機関が預貯金の譲渡を制限したら
第466条の5

金融機関に預けたお金というのは、金融機関に対する債権であり、《預貯金債権》といいます。

債務者である金融機関との間で、預貯金債権の譲渡制限の取り決めをしていた場合、余程のことがない限り譲渡制限のことは調べればわかることなので、他人がこの債権を譲り受けたとしても預貯金債権の払い戻しは拒否されることになります。
2

差し押さえの強制執行の場合は、預貯金債権であっても払い戻しを受けられます。
原文
債権として存在していなくても譲渡をしたら
第466条の6

取り決めをした時点で債権債務が存在をしていなくても、債権の譲渡制限を取り決めておくことは認められます。
2

譲渡契約を交わした時点で債権としては成立していないケースであれば、債権が成立した時点でその債権は譲り受ける契約をした人のものということになります。
3

金融機関に預けた債権を譲り渡すために必要なことは、第466条第一項に規定されています。

この規定に則って、必要な手順を踏むまでに金融機関側から債権者に譲渡制限が伝えられていた場合、譲渡制限のことを聞いているか、いないかに関わらず、この債権の譲渡制限のことを知っていたとみなされます。

これにより、元々の債権者が破産してその権利を譲り受けた人に対する預貯金債権の扱いは第466条第3項の規定に従い、金融機関が債務を果たすために供託をしたら、その払い戻しの請求が認められることになります。
原文
債権の譲渡を認めてもらうには
第467条重要

債権を他人に譲り渡したことを認めてもらうには、次のどちらかの手順を踏まなければなりません。
  • 債権を譲り渡そうとしている人から、債務者に債権者が変わることを通知すること
  • 今後、債務を果たす相手が変わることについて債務者の承諾を得ること

債権としては成立していないケースでも、譲渡を認めてもらうには上記の段取りを踏む必要があります。
2

“果たす相手が決まっている債権”は、譲り渡すために必要な通知や承諾を得る場合、必ず《確定日付》が記された証書で行わなければなりません。
“果たす相手が決まっている債権”のことを《指名債権》といいます。
“公正証書の日付”や“公証役場で認められた日付”、“官公庁や郵便物の消印によって証拠能力が認められている日付”のことを《確定日付》といいます。
原文
債権を譲り受けた人からの請求に対して
第468条

債権の譲渡がなければ、時効やその他の理由で債務を果たす必要がなくなっていた場合、譲渡により新たな債権者から債務を果たすように請求をされたとしても、その譲渡がなければ時効やその他の理由で債務を果たす必要がなくなっていた場合、債務者はその請求を拒むことが認められます。
2難文

譲渡された債権に対する債務を果たすことを拒否していたために設定された期間が終わるまでに、債権を譲り渡した人との間で債務がないことが認められたとしたら、債務者は債務を譲り受けた人に対してもその請求を拒むことが認められます。

元々の債権者が破産して債権を譲り受けた人から債務を供託するように請求をされるまでに債権を譲り渡した人との間で債務がないことが認められたとしたら、債務者は債務を譲り受けた人に対してもその請求を拒むことが認められます。
原文
元々の債権者に対して相殺が可能な場合
第469条

債権の譲渡によって債権者が変わったとしても、それ以前から元々の債権者に対して相殺が可能な債権を持っていたら、新しい債権者に債務を果たさなくても、相殺により債務を果たすことが認められます。
2

次の場合であれば、債務者が変わった後に相殺が可能な債権を手に入れたとしても、相殺により債務を果たすことが認められます。

ただし、この債権に無関係な人に対する債権では相殺はできません。

債権者が変わる前に手に入れる話が進んでいた債権の場合

必ずしも手に入れた時期に関わらず、この債権が生じることになった契約によって生じた債権の場合
3難文

債権の譲渡によって債権者が変わったとしても、譲渡禁止債権だという理由で債務を果たすことを拒否していて、期限を切られて請求をされる前に元々の債権者に対する相殺が可能な債権を手に入れた場合は、新しい債権者に債務を果たさなくても、相殺により債務を果たすことが認められます。

債権の譲渡によって債権者が変わったとしても、破産して強制執行による押さえを受ける以前に元々の債権者に対する相殺が可能な債権を手に入れた場合は、新しい債権者に債務を果たさなくても、相殺により債務を果たすことが認められます。
原文
第5節 債務の手助け

第五節 債務の引受け

第1款 債務のサポーター

第一款 併存的債務引受

債務のサポーターになるには
第470条

“債務のサポーター”になる人には、債務者といっしょの立場になって債務を果たす義務を追うことになります。
2

“債務のサポーター”になるには、債権者と契約を結ぶ必要があります。
3

“債務者のサポーター”になるには、債務者と契約を結ぶ方法でも認められます。

この場合、“債務者のサポーター”に対する債権者の承諾を得た時点から効力が認められます。
4

“債務のサポーター”になることについて、詳しいことは、契約の当事者以外の人が何かをしてもらえる契約の規定(第537条)を同じように適用します。
債務者といっしょの立場になって債務を果たす義務を負う“債務のサポーター”になることを《併存的債務引受》といいます。
原文
債務のサポーターになったら
第471条

“債務のサポーター”は、債務者の方で債務を果たす必要がなくなった時点で、債務を果たす必要がなくなります。
2

“債務のサポーター”になるつもりであっても、者の方から債権者に対して契約を取り消す権利や契約を解除できる権利を持っている場合、これらの権利によって債務を免れる分については債務を引き受ける必要がなくなります。
“債権者に対して契約を取り消す権利”を《取消権》、“債権者に対して契約を解除できる権利”を《解除権》といいます。
原文
第2款 債務のピンチヒッター

第二款 免責的債務引受

債務のピンチヒッターになるには
第472条

“債務のピンチヒッター”になったら、債務者に代わって債務を引き継ぐことになります。

実際に債務を引き継いだら、債務者は債務を果たす必要が無くなります。
2

“債務のピンチヒッター”になるには、債権者と契約を結ぶ必要があります。

この場合、“債務のピンチヒッター”になったことを債権者から債務者に通知をする必要があります。
3

“債務のピンチヒッター”になるには、債務者と契約を結ぶ方法も認められます。

この場合、債権者からピンチヒッターになったことを承諾した時点で効力が認められます。
債務者の身代わりになって債務を果たす義務を負う“債務のピンチヒッター”になることを《免責的債務引受》といいます。
原文
債務のピンチヒッターになったら
第472条の2

“債務のピンチヒッター”は、債務者の方で債務を果たす必要がなくなった時点で、債務を果たす必要がなくなります。
2

“債務のピンチヒッター”になるつもりであっても、者の方から債権者に対して契約を取り消す権利や契約を解除できる権利を持っている場合、これらの権利によって債務を免れる分については債務を引き受ける必要がなくなります。
原文
ピンチヒッターが債務を果たしても
第472条の3

“債務のピンチヒッター”になって債務を果たしたとしても、債務者にその請求をすることはできません。
原文
ピンチヒッターになることが決まったら
第472条の4

“債務のピンチヒッター”になることが決まったら、債権者は、債務者のものに設定していた担保をピンチヒッターになる人のものに担保を移し替えることができます。

ピンチヒッターになる人以外の人のものに担保を設定する場合は、その人に承諾を得る必要があります。
2

担保を移し替えるには、ピンチヒッターになると同時か、できれば事前に、担保が移し替えられることをピンチヒッターになる人に知らせて認めてもらう必要があります。
3

“債務のピンチヒッター”になることが決まったら、債権者は、債務者への保証人をピンチヒッターになる人への保証人に移ってもらうことができます。

ピンチヒッターになる人への保証人に移ってもらうには、ピンチヒッターになると同時か、できれば事前に、保証人に保証の相手が移ることを知らせて認めてもらう必要があります。
4

ピンチヒッターになることにより保証の相手が移ることを知らせて認めてもらうには、契約書を交わす必要があります。
5

ピンチヒッターになることにより保証の相手が移ることを電子メールのやり取りによって認めてもらった場合は、契約書を交わしたことと同じ意味合いであると判断されます。
原文
第6節 債権はどうなると負わなくてもよくなるのか

第六節 債権の消滅

第1款 債務を果たすこと

第一款 弁済

第1目 この款全般にいえること

第一目 総則

債務を果たしたら
第473条

債務を果たすと、その債権は消滅します。
債務を果たすことを《弁済》といいます。
原文
本人でなくても債務を果たすことは
第474条

債務は、債務者本人ではなくても果たすことは認められます。
2

債務者が「嫌だ」と言っている時には、何の得もしない人が勝手に債務を果たすことは認められません。

勝手に行った場合であっても、債務者が「嫌だ」と言っていることを債権者が気づかなかったら、その債務は果たされたことになります。
3

債権者が「嫌だ」と言っている時には、何の得もしない人が勝手に債務を果たすことは認められません。

債務者に頼まれたことを債権者が気づいていたら、債権者が嫌でもその債務を果たすことが認められます。
4

この条の規定に該当しても、債務の内容として他の人が債務を果たすことが不可能な場合は債務を果たすことはできない、ということになります。

債権者と債務者の間で、他の人が債務を果たすことは認めないとしていた場合も債務を果たすことはできない、ということになります。
原文
引き渡した物を取り返すには
第475条

債務を果たすために自分の物ではない物を引き渡したら、それを取り返すためには、引き渡した物に見合う《弁済》をしなければなりません。
原文
受け取った物を使ってしまったら、手遅れです
第476条

他人の物を引き渡した場合でも、債権者がそれを知らずに受け取った物を使ってしまったり、他人に譲り渡してしまったら、いったんその債務は果たされたものとなり、引き渡した物を取り返してもらうことは無理となります。

この場合、自分の物を引き渡されてしまった人は、取り返せない代わりに、賠償を求めることが認められます。
原文
債権者の口座への払込によって債務を果たすには
第477条

債務者が債権者の口座宛に振込をして、債権者が実際に引き落としをすることができるようになった時点で、その債務は果たされたことになります。
原文
見たところ弁済を受ける権利があると思える人に弁済すると
第478条

“債権者と、法令で指定された人や、契約によって弁済を受ける権利を与えられた人”のことを《受領権者》といいます。

誰が見ても《受領権者》と思われる人に対して弁済をしてしまった時、そうだと知らず、知らなかったことに落ち度もない場合に、債務者はその弁済を果たしたことが認められます。
原文
弁済を受ける権利のない人に弁済をしても
第479条

見たところ権利があると思える人に弁済をした場合ではなくて、何らかの事情で弁済を受ける権利のない人に弁済をしたとしても、弁済をしたことにはなりません。

弁済を受けた人が本来の弁済を受ける権利のある人に対して利益を回してくれた場合、その分は弁済したことが認められます。
原文
第480条

削除
差押えされている人に賃金を支払ってしまうと
第481条

収入や資産が差押えられたら、差し押さえられている人が稼いだ収入は稼いだ本人ではなくて、差し押さえている債権者に支払わなければなりません。

それにもかかわらず、賃金を差し押さえられている人に支払っても債務を果たしたことにならず、差押えている債権者から相応の金額を請求されることになります。
2

前項のような請求を受けた人は、この請求を拒むことはできないので、賃金を払ってしまった債務者に対して損害賠償を求めることが認められます。
債務を果た気のない人を「雇っている人」や、お金を払わない人から「お金を借りている人」など、債務者に債務のある人のことを《第三債務者》と言います。
原文
本人でなくて、当初の契約と違う形でも
第482条

債権者の承諾をもらえれば、必ずしも債務者本人以外の人が弁済をしたり、必ずしも当初の契約とは違う形で弁済をしても、債務を果たしたことが認められます。
原文
ある物は、あるがままに引き渡す
第483条

「ある物を引き渡す」と取引において、契約内容に引き渡す時点での品質を決めておらず、契約した時の状況や社会一般常識に照らしても品質を決められない場合、引き渡す時点で「あるがままのある物」を引き渡さなければなりません。
原文
弁済の場所と時間
第484条

物を引き渡す契約で、特に場所を決めていなければ、契約をした時に物があった場所で引き渡しを行います。

物を引き渡す債務でなければ、弁済を行う場所は、債権者の現在の住所で行ってください。
2

法令や慣習によって時間が決められている場合は、その時間内に弁済の請求や弁済を行ってください。
原文
弁済にかかる経費
第485条

特に取り決めをしていない限り、弁済をするために必要な経費は、債務者が負担してください。

しかし、例えば住所移転というような債権者の一方的な事情で経費が値上がりしてしまった場合は、増加した金額分は債権者が負担してください。
原文
受取証書を発行してもらう
第486条

弁済をする時には、弁済を受ける人にレシートや領収書などの受取証書を発行するよう、請求できます。
原文
債権/債務の証書を返してもらう
第487条

債務を全て果たしたら、債務の証書があれば、それを返してもらうことができます。
“債権/債務の証書”とは、借用証書などの他、預金通帳なども含まれます。
原文
どの弁済から始めるか
第488条重要

色々と債務があるのに、一度に全部の弁済ができずにとりあえず一部だけ弁済をする場合、どの債務から弁済を始めるのかは、弁済する人が決めてください。
2

どの弁済から始めるつもりかを弁済する人が決めていない場合、弁済を受ける人がどの弁済を受け取ったのかを決めてもかまいません。

どの弁済を受け取ったのかを決められたそのときに、弁済をした人が異議を述べた場合、その通りにはなりません。
3

どの分の弁済なのかを決めるには、当事者相互でどの分かを確認しあうことが必要です。
4

弁済をする側を受ける側も、どの分の弁済をしたのかを決めない場合、次の方法で先の弁済をしたのかを決めることとします。

弁済の時期が過ぎているものがあれば、この弁済をを先にします。

どれも弁済の時期が来ていなかったり、どれも弁済の時期が過ぎていたら、債務者にとって弁済を終えることでメリットの大きいものを先にします。

どの弁済を先にするにしても、特に弁済によるメリットに差がない場合、弁済の時期を先に迎えるものを先にします。

メリットに差がなく、時期も同じであれば、弁済の額が大きいものから先にします。
原文
支払いの元本・利息・経費の割当の順番
第489条

元本の他に利息や返済のための経費が必要なケースで、弁済をしてもそれら全額の支払いができない場合、支払ったお金はまず経費に当てられ、次に利息、そして残ったお金で元本の支払いに回すことになります。
2

弁済をする側も弁済を受ける側も、どの弁済のためのお金を支払ったのかを決めない場合も、支払ったお金はまず経費に当てられ、次に利息、そして残ったお金で元本の支払いに回すことになります。
原文
どの弁済かを話し合いで決めても
第490条

どの弁済のためのお金を支払ったのかについては、弁済する側とこれを受ける側との話し合いで決めても問題ありません。
原文
何口かの支払いが必要なのに、お金が足らない場合
第491条

一件の債務を果たすために、何口かの支払いが必要なのに、全ての支払いにはお金が足らない場合、どの支払いから優先させるかを決めるためには、次の規定を同じように適用します。
  • 弁済の時期や債務者のメリット、弁済の額
    第488条
  • 元本・利息・経費の順
    第489条
  • 支払う側とこれを受ける側との話し合い
    第490条
原文
弁済を終えたら
第492条

弁済を終えたら、債務を果たせない場合の責任から免れます。
原文
弁済のやりかた
第493条

債務を果たすには、債権と債務の取り決め通り行うことが必要です。

しかし、そもそも債権者に債務の受取をするつもりがなかったり、債務を果たすためには債権者の協力が必要な場合は、債務者の意思に反して債務が果たせなくなってしまいます。

そんな場合は、債務を果たす準備ができていることと、さっさと債務を果たさせて欲しいと債権者に伝えれば、債務を果たす気があることが認められます。
原文
第2目 弁済の代わりに供託をしたら

第二目 弁済の目的物の供託

供託することによって
第494条

次のケースでは、債権者に弁済をする代わりに、弁済するはずのものを供託することによって債務を果たしたことが認められます。

供託をした時点で、この債権は消滅します。

弁済をしたのに、債権者がそれを受け取らないケース。

債権者が弁済を受け取ることができないケース。
2

ちゃんと対応したり、調べたりしても、弁済をする相手が誰なのかが判断できないケースでも、供託することによって債務を果たしたことが認められます。
原文
供託のやり方
第495条

債務を果たすために供託をすることになったら、債務を果たすはずだった場所を管轄する供託所で供託を行います。
2

どこで債務を果たせば良いのかがわからない場合は、裁判所に依頼して、どこの供託所で供託すればいいのかと、誰に供託したものを保管してもらうのかを決めてもらってください。
3

前務を果たすために弁済をしたら、滞り無く債権者に供託をしたことを知らせてください。
原文
供託のキャンセル
第496条

供託をしたのに債権者がこれを認めてくれるまでの間や、裁判で供託が有効であると認める判決が出るまでの間は、供託をキャンセルして供託物を取り戻すことができます。

供託をキャンセルしたら、供託をしなかったことになります。
2

供託をしたことで質権や抵当権が消滅した場合は、供託をキャンセルすることはできません。
原文
供託に適さない物の場合
第497条

次のケースでは、裁判所の許可を得た上で、弁済の対象のものを競売で現金化しお金を供託することが認められます。

債権者が弁済を受けようとしない場合で債権の内容物の維持保管にやたら経費がかかってしまう場合も、競売にかけてそのお金を供託する方法は可能です。

もののままでは、供託しても受け取ってもらいえない場合。

もののままでは、時間とともに価値が無くなってしまったり、もの自体がダメになってしまう場合。

もののままでは、保管するのにムダに費用がかかってしまう場合。

上記以外でも、供託をすることが向かない理由がある場合。
原文
供託されたものを受け取るには
第498条

供託されたお金や債務の対象のものに対して、これを請求できるのは債権者です。
2

債権者と債務者の間で取引の約束が成立しているケースで、債権者が供託されたお金や債務の対象のものを受け取るためには、債権者が債務者に対して、やってあげなければならないことをやり終えている必要があります。
原文
第3目 立て替える

第三目 弁済による代位

立て替えてあげたら
第499条難文

債務を立て替えた人は、その債務者から立て替えた分を取り立ててください。
原文
第500条

立て替えをしたことを、債務者らに認めてもらうためには、次のどちらかの手順を踏まなければなりません。
  • 立て替えた人から、債務者に立て替えたことを通知すること
  • 立て替えようとしていることについて債務者の承諾を得ること


立て替えをしないと都合が悪い人は、このような手順をふまなくても立て替えることが認められます。
“立て替えをしないと都合が悪い人”とは、債務が果たされないことによって自分の財産などに影響を受けることになる《保証人》などのことを指します。
原文
立て替えたらどうなるか
第501条

債務を立て替えたことにより元々の債権者に代わって新たに債権者の立場になった人は、元々の債権者と同じ権利を持つ事になります。
2

元々の債権者と同じ権利を持つことにより立て替えた分を取り立てる権利が認められるのは、立て替えた金額分の範囲に限られます。

一部の保証人が立て替えをしたケースで、他の保証人に対する権利が認められるのも、立て替えた金額分の範囲に限られます。
3

立て替えによって新たに債権者の立場になった人は、以下の各号の規定にもしたがってください。

第3項では、“担保の対象となっている財産を譲り受けた人”のことを《第三取得者》といいます。

この《第三取得者》は、債務の保証人や《物上保証人》に立て替え分の取り立ては認められません。

《第三取得者》が何人かいるケースで、その中の一部の人がまとめて債務を立て替えた場合、その人は他の《第三取得者》に対して、担保の対象となっている財産の額の割合に応じて立て替えた分を取り立てることができます。

《物上保証人》が何人かいるケースで、その中の一部の人がまとめて債務を立て替えた場合、その人は他の《物上保証人》に対して、自分が担保として提供している財産の額の割合に応じて立て替えた分を取り立てることができます。

普通の保証人と《物上保証人》がいるケースで債務を立て替えた人は、立て替えた額を保証人らの人数の頭割りした分ずつ取り立てることができます。

普通の保証人と複数の《物上保証人》がいるケースで債務を立て替えた人は、立て替えた額から普通の保証人に割り当てた額を取り立て、残った額に対して《物上保証人》の人数を頭割りした分ずつ取り立てることができます。

担保の対象となっている財産を譲り受けた《第三取得者》からさらに、担保の対象となっている財産を譲り受けた人は、《第三取得者》と同じ扱いとなります。

自分の財産を担保として提供している《物上保証人》から担保の対象となっている財産を譲り受けた人は、《物上保証人》と同じ扱いとなります。
自分の財産の価値の分だけ人の債務の保証をする人ことを《物上保証人》といいます。
原文
一部だけ立て替えた場合
第502条

債務の一部だけを立て替えた人は、立て替えた債務の分だけ債権者の債権の権利を持つことになります。
2

債務の一部だけを立て替えた人がいても、債権者はその人との相談なしで債権の権利を行使できます。
3

債務の一部を立て替えた人との相談なしで債権者が権利を行使するケースで、債権者としての権利を行使して担保になっている財産を売却したりする場合、得られたお金は立て替えた人よりも債権者が優先的に受けられます。
4

債務の一部を立て替えた人であっても、債務を果されないからといってこの契約をキャンセルすることはできません。

債権者が契約をキャンセルしたら、一部を立て替えた人には債権者から立て替えてもらった分とその利息を返してもらえます。
原文
立て替えてあげたら証書や担保を
第503条

債務を全て立て替えて果たしてあげたら、債権の証書や債権者が占有している担保を債権者から譲り受けてください。
2

債務の一部を立て替えて果たして上げたら、債権の証書に「一部立て替え済」であることを記入してもらったり、占有されている担保をチェックしてください。
原文
債権者が担保の価値を失くした場合
第504条

“立て替えた方が都合がいい”という人が存在していて、「担保もあることなので立て替えよう」としているとします。

ところが、債権者がわざとではないにしても担保を壊したり減らしたりして、その価値を失くしてしまうと、立て替えても失くなった担保の分の心配をしなければならなくなります。

この場合、債権者が失くした担保の分まで立て替える必要はありませんし、ましてや債権者がわざと担保の価値をなくした場合も当然立て替える必要はありません。

さらに、立て替えた方が都合がいい人から価値を失くされた担保となる物件を譲り受けた人や、担保となるものを買い受けた人についても、失くされた担保の分を立て替える必要はありません。
2

担保の価値を失くしてしまったことについて、常識的に判断して債権者にちゃんとした理由がある場合、債務の全額をきちんと立替えてもらうよう要求できます。
買い受けたりして、“所有権などの特定の権利を引き継いだ人”のことを《特定承継人》といいます。
原文
第2款 差し引きの相殺

第二款 相殺

相殺するためには
第505条

自分と相手が互いに同じような内容の債務を負っていて、どちらも債務を果たす時期に来ていたら、差し引き相殺することによって相互に債務を免れることができます。

とはいえ、債務の内容的に相殺が向かない場合には適用できません。
2

相殺が向かない場合でもないのに、当事者の間で「相殺できない」と約束したとしていたら、当事者以外の人にも相殺ができないとことを理解してもらうためには、予めその約束を知らせておく必要があります。

ちゃんと約束を知らせていたのに相手がうっかりしていた場合でも、相殺できないことが認められます。
原文
相殺の方法と、有効になる時点
第506条

相手の反対がない限り、当事者のどちらか一方から「相殺にしましょう」と伝えれば、差し引きで相殺とすることができます。

相殺は特定の相手に対してしかできないわけですから、債権が別の人に譲り渡されることなども考慮して、条件や期限付きの相殺は認められません、
2

相殺が有効となるのは、「相殺にしましょう」といった時点ではなく、両者ともに債務を果たす時期が来て相殺ができることになった時点からスタートしたことになります。
原文
相手の所へ行かなくても
第507条

相殺は、わざわざ相手の所に出向かずとも、各自が都合の良い場所で行うことができます。

しかし相手が出向いてくれなかったことにより経費や損害が発生した場合はその分の賠償を要求することができます。
原文
時効を迎えていても相殺は可能です
第508条

たとえ時自分の債権が時効を迎えていたとしても、時効が成立する前に相殺が可能になっていたら、時効にかかわらず相殺をすることができます。
自分から債権の相殺を働きかける場合、その債権のことを《自働債権》といいます。
原文
不法行為の賠償は相殺で済ますわけにはいきません
第509条

次のケースでは、債務者側から相殺で済ますことが認められません。

ただし、その債権を他人から譲り受けた場合は相殺で済ますことが認められます。

わざとしでかした不法行為に関する損害賠償による債務

生命を奪われたり、身体的な障害を負ったことに対する損害賠償による債務。
債務者から、相殺を働きかえられる債権のことを《受働債権》といいます。
原文
差押えが禁止されている債権の場合
第510条

相殺でなんとかしてくれと債務者が頼んでも、差し押さえが禁止されているような債権では、相殺に応じてもらえません。
生活費の一部などが“債権が差押えを禁じたもの”にあたります。
原文
差し押さえを受けている債務の相殺は
第511条難文

自分の債務の債権者が差し押さえを受けているケースで、自分の債務と差し押さえを受けた後で手に入れた債権では、差し押さえをしている人に相殺したことを認めさせることはできません。

自分の債務の債権者が差し押さえを受けているケースで、自分の債務と差し押さえを受ける前に手に入れた債権となら、差し押さえをしている人に相殺したと認めさせることができます。
2

自分の債務の債権者との間で債権が生じる契約を債務者が差し押さえを受ける前にしていたら、差し押さえを受けた後にその債権が成立したものであっても、自分の債務とその債権との相殺を差し押さえをしている人に認めさせることができます。

差し押さえを認めさせることができるのは、あくまでも自分の債務の債権者に対する債権であって、無関係な人に対する債権では相殺を認めさせることはできません。
原文
相殺の手順の補足
第512条

債権者側が持つ債権と相手に対する債務とを相殺しようと提案したケースで、当事者の間で特別な取り決めごとをしていない場合、相殺ができる状況になった段階で相殺が可能となります。

相殺するのは、債権・債務とも複数まとめて行うことが可能で、双方に見合う額面の分ずつ相殺されることになります。
2

債権者が持つ債権の額面では相手への債務を帳消しにするには足りないケースで、当事者の間で取り決めごとをしていない場合、次の方法で対応してください。

債権者には複数の債務がある場合、次の規定を同じように適用します。
  • 債務者にとってメリットの大きいものを先に相殺します。(第488条第4項第二号)
  • 債務者にとってのメリットに差がなければ、弁済の時期を先に迎えるものから相殺します。(第488条第4項第三号)
  • メリットに差がなく、時期も同じであれば、弁済の額が大きいものから相殺します。(第488条第4項第四号)

債権者側が債務を果たす際に利息や諸費用を負担する必要がある場合、次の規定を同じように適用します。
  • まず債権者側が債務の経費を相殺し、次に利息の分を相殺し、残ったお金で債権の元本を相殺します。(第489条
3

債権者が持つ債権の額面では相手への債務を帳消しにするには多すぎるケースで、当事者の間で取り決めごとをしていない場合も、前項の方法を同じように適用して対応してください。
原文
第512条の2

次の場合はどちらも第512条を同じように適用するので、次のようになります。

  • 債権として、債務者から複数の給付をしてもらう必要があるケースで、どの債務から相殺するか。

  • 債権を請求するにあたって、債務者に複数の給付をしてあげる必要があるケースで、どの給付から相殺するか。


    • 債務者にとってメリットの大きいものを先に相殺します。
    • 債務者にとってのメリットに差がなければ、弁済の時期を先に迎えるものから相殺します。
    • メリットに差がなく、時期も同じであれば、弁済の額が大きいものから相殺します。
    • 債務の経費を相殺し、次に利息の分を相殺し、残ったお金で債権の元本を相殺します。
原文
第3款 契約が新しい内容に置き変わったら

第三款 更改

契約が新しい内容に置き変わったら
第513条

契約の内容が置き換わり、次のケースに該当すると、もともとの契約による債務はいったん消滅します。

契約によって互いに何をしてあげるのかについて、重要な変更が生じるケース。

債務者が変更となるケース

債権者が変更となるケース
いったん債務を消滅させて、新たな契約により債務の内容が新しいものに置き換わることを《更改》といいます。
原文
債務者変更の更改
第514条

債務者を変更するための更改をするには、債権者と次の債務者が契約を交わす必要があります。

契約が終わったら、債権者から前の債務者に「債務者が変わる更改の契約をした」と伝えた時点で、この契約が有効なものと認められます。
2

いうまでもありませんが、債務者が変わったら、前の債務者にはこの件で債務を請求されることは失くなります。
原文
債権者変更のための更改
第515条

債権者を変更するための更改をするには、元々の債権者と次の債務者、そして債務者が契約を交わす必要があります。
2

債権者を変更するためには、ちゃんと日付が入った、間違いのないことが公的に認められる書面を残して更改をしない限り、当事者以外の人からクレームがあると変更が認められなくなってしまいます。
公的に認められる日付が入った書面とは、郵便局の《内容証明郵便》や公証役場で認められる《公正証書》か《確定日付》の印をもらった書面ということになります。
原文
第516条〜第517条

削除
更改後の担保の扱い
第518条

担保つきの契約を更改するケースで債権者が承諾すれば、もともとの担保の額を上限として、更改後の契約のための担保として質権や抵当権をスライド設定してもかまいません。

債権者の変更のための契約更改のケースでは、更改前の債権者が承諾する必要があります。

しかし、債務者本人以外の人が担保を差し出す場合には、その人の承諾を得なければ担保としては認められません。
2

更改後の契約のための担保として質権や抵当権をスライド設定するためには、契約の当事者に予め、または契約時に約束を取り交わす必要があります。
原文
第4款 債務を見逃してもらったら

第四款 免除

第519条

債務者に対して「債務を免除します」と債権者が伝えたら、その債権は消滅します。
原文
第5款 債務者が債権者になったら

第五款 混同

第520条

自分の債務が回ってきて自分の債権になったら、自分で自分に債務を果たす必要もないので、その債権債務は消滅します。

しかし、その債権に自分以外の誰かが関係している場合は、債権/債務は消滅しません。
自分が負った債権を自分に果たす状態のことを《混同》といいます。
原文
第7節 お金や物やサービスを受け取る権利が書かれた証券

第七節 有価証券

第1款 受け取る相手の名前が書かれた証券

第一款 指図証券

《指図証券》を譲り渡すには
第520条の2

《指図証券》には、お金や物やサービスを受け取る相手の名前が書かれているので、証券を譲り渡しただけでは、その権利を譲り渡したことにはなりません。

その権利を譲り渡すには、裏書きといって、証券の裏面に権利を譲り受けた人の名前を書き添えて、証券を譲り渡してください。
“お金や物やサービスを受け取る相手の名前が書かれた証券”を《指図証券》といいます。
原文
《指図証券》の裏書きのやり方
第520条の3

《指図証券》を譲り渡す際に行う裏書きのやり方は、手形法の中に規定されている裏書きのやり方と同じように行います。
原文
現在の所有者に権利が認められるには
第520条の4

《指図証券》の現在の所有者に、お金やサービスなど受け取る正当な権利が認められるためには、裏書きがきちんと記載されていて、現在の所有者まで正しくつながっていることが必要です。
原文
ちゃんと裏書きされた《指図証券》なら
第520条の5

他人の名前が書かれた《指図証券》でも、人手に渡ってきちんとした裏書きがなされてしまうと、その人のものとはいえなくなります。

とはいえ、明らかに他人のものだとわかっている場合はもちろん、普通に注意をしたら不自然だと気づくはずなのに「ちゃんと手に入れたものだ」といっても認められません。
原文
前の所有者に断ることができたからといっても
第520条の6難文

《指図証券》に記載されている必要項目や注意事項に記載されていることとは違うことを証券の所有者が要望したら、もちろん断ることが認められます。

それ以外のことについて過去の証券の所有者との間では同意によって断ることができたことであっても、その経緯を知らない現在の証券の所有者との間では同意はありませんので断ることは認められません。
原文
《指図証券》を質草にするケースでは
第520条の7

《指図証券》を質草にするケースで、証券の預け方や裏書きの仕方、証券の所有権に関することは、この款に記載されている譲渡に関する規定を同じように適用することとします。
原文
債務者の所在地で
第520条の8

《指図証券》は、債務者の所在地で債務を果たしてもらうことができます。
原文
持ってきたのに、債務を果たせないと
第520条の9

債務を果たす期限が来て、《指図証券》を債務者のところに持ってきた時から、債務を果たす必要が生じます。

《指図証券》を持ってきたのに、債務を果たすことができない場合、債務者には遅れに対してなんとかしなければならない責任が生じます。
原文
《指図証券》でお金やサービスを提供するにあたって
第520条の10

《指図証券》を提示されて、お金やサービスを提供するにあたって、その証券に記載された人と持ってきた人が同じであるか、署名や押印に間違いないかを確かめる権利が認められます。

とはいえ、必ずしも《指図証券》を提示されるたびに、間違いがないかを確かめなければならない義務があるわけではありません。

しかし、《指図証券》に記載がない人にサービスを提供したり、不備がある《指図証券》に対してサービスを提供した場合、サービスを提供したからといって債務を果たしたことにはなりません。
原文
《指図証券》を無効にするには
第520条の11

《指図証券》を無効にするためには、《公示催告手続》をする必要があります。

《公示催告手続》は、非訟事件手続法の第百条に規定があります。
原文
《指図証券》を失くしてしまっても
第520条の12

お金や有価証券あるいは物を受け取ることができる《指図証券》を失くしてしまった場合、《公示催告の申立》をする必要があります。

《公示催告の申立》をすると、その証券の債務の内容にしたがって、債務者からお金や有価証券あるいは物を供託してもらうことができます。

《公示催告の申立》については、非訟事件手続法の第114条に規定があります。
原文
第2款 持っている人が提供を受けられる証券

第二款 記名式所持人払証券

《記名式所持人払証券》を譲り渡すには
第520条の13

《記名式所持人払証券》には、債権者の名前と、これを持っている人はお金や物やサービスの提供を受けられると書かれているので、証券を譲り渡すと、その権利を譲り渡したことにはなります。
“債権者の名前と、この証券を持っている人はお金や物やサービスの提供を受けられると書かれた証券”を《記名式所持人払証券》といいます。
原文
《記名式所持人払証券》を持っているということは
第520条の14

《記名式所持人払証券》を持っているということは、その証券に書かれているお金やサービスを受け取る権利を持っていることになります。
原文
ちゃんと《記名式所持人払証券》を手に入れた人が現れると
第520条の15

どういう理由があったとしても、《記名式所持人払証券》が手元から離れてしまうと、ちゃんとした手続きでその証券を手に入れた人が現れると、証券を返してもらうことはあきらめざるを得なくなります。

もっとも、証券を手に入れた人が本来の持ち主のことを知っていたり、ちょっと考えればその証券を手に入れることは不自然だと気づくことができる場合は、証券を返してもらうことができる可能性があります。
原文
《記名式所持人払証券》も断ることができたからといっても
第520条の16

《記名式所持人払証券》に記載されている必要項目や注意事項に記載されていることとは違うことを証券の所有者が要望したら、もちろん断ることが認められます。

それ以外のことについて過去の証券の所有者との間では同意によって断ることができたことであっても、その経緯を知らない現在の証券の所有者との間では同意はありませんので断ることは認められません。
原文
《記名式所持人払証券》を質に入れるときも
第520条の17

次の規定は、《記名式所持人払証券》を質に入れるときも同じように適用します。
  • 《記名式所持人払証券》を譲り渡すには(第520条の13
  • 《記名式所持人払証券》を持っているということは(第520条の14
  • ちゃんと《記名式所持人払証券》を手に入れた人が現れると(第520条の15
  • 《記名式所持人払証券》も断ることができたからといっても(第520条の16
原文
《指図証券》の規定も
第520条の18

《指図証券》に関する次の規定は、《記名式所持人払証券》についても同じように適用します。
  • 債務者の所在地で(第520条の8
  • 持ってきたのに、債務を果たせないと(第520条の9
  • 《指図証券》でお金やサービスを提供するにあたって(第520条の10
  • 《指図証券》を無効にするには(第520条の11
  • 《指図証券》を失くしてしまっても(第520条の12
原文
第3款 それ以外で、名前が記載された証券

第三款 その他の記名証券

第520条の19

《指図証券》や《記名式所持人払証券》には当てはまらないものの、債権者が誰なのかが記載されている証券を譲渡する場合は、定められたやり方で行うことにより、その効力が譲渡されることになります。

この証券を質に入れる場合も、定められたやり方で行うことにより、その効力を質に入れることができます。
2

《指図証券》や《記名式所持人払証券》以外で、債権者の名前が記載されている証券には、《指図証券》に関する次の規定を同じように適用することとします。
原文
第4款 名前が記載されていない証券

第四款 無記名証券

第520条の20

名前が記載されていない証券に対しては、《記名式所持人払証券》に関する規定を全て同じように適用することとします。
原文
第3編 第2章 契約:約束や取引を交わす14の方法

第2編 第10章 抵当権:譲り受けない不動産で担保する権利
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改正
  令和5年4月1日に施行される条文(かみくだし作業済)

改正 令和5年4月1日に施行される条文(かみくだし作業前)

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