第5編 遺産をどうするか
第五編 相続
第9章 分け前の最低保証分
第九章 遺留分

第5編 第10章 頑張ってくれた人には
第5編 第8章 相方に死なれて
相続人との関係と保証される割合
- 第1042条重要
-
遺留分とは、自分の他にも相続人がいたとしても、少なくとも一定の割合の相続を受け取ることができる権利です。
兄弟姉妹の関係の人に対して遺留分はありませんが、それ以外の人には次に規定されている割合が遺留分として認められます。 - 一
- 遺産を遺した人の実の親か、祖父母だけが相続人の場合、たとえ遺言で譲り渡すことが指定されていても、遺産の三分の一は相続人のために割り当てられます。
- 二
- 結婚相手、子や孫が相続人の場合、たとえ遺言で譲り渡すことが指定されていても、遺産の二分の一は相続人のために割り当てられます。
- 2
- 相続人が複数いる場合、遺留分に法定相続分を加味して割合を出すことになります。
原文
1127
遺留分にあてるための資産額
- 第1043条
- 相続が始まった時点での財産総額と、生きている内に先渡しされた財産の合計から、全ての債務を差し引いて残った財産が遺留分に当てる資産額となります。
- 2
- 条件付きの権利や、いつまで効力があるのかがはっきりしない権利が遺産に含まれているために、その価値を正式に見積もる必要がある場合は、家庭裁判所が選んだ鑑定人が評価をして決めます。
“財産を生きている内に先渡し”することを《生前贈与》といいます。
原文
1128
- 第1044条重要
-
相続開始よりも一年前までに先渡しで贈られた財産は、前条にある“生きている内に先渡しされた財産”ということになります。
他の相続人の遺留分を目減りさせるために、財産の贈与や肩代わりをさせた場合は、一年以上前に行われたケースであっても、財産を先渡ししたものとみなします。 - 2
- 遺留分に関しても額を決めるのは相続をした時点の価値で決めるので、遺留分を受け取る側の事情や行いによって価値が無くなったとしても、その分が補償されることはありません。
- 3
-
相続人に対しては、第一項にある一年前ではなくて十年前までさかのぼって、結婚や養子縁組のための費用や生活費の足しにするために贈られた財産も財産の先渡ししたものの対象になります。
原文
1129
- 第1045条
- 贈与を受ける代わりになにかをしてあげなければならない《負担付贈与》を受け入れた場合、遺留分を算出するには負担した分の額面も引くことが認められます。
- 2
-
取引の対価が一方的に安いケースで、この取引に関わった双方が遺留分を受け取る人に遺留分を減らすことが目的だとわかっていた場合は、負担付贈与をしたものと判断されます。
一方的に安い対価が負担付贈与の負担とみなされます。
一方的に安い対価分を支払えば、遺留分を行使するために「この取引は贈与にあたる」というアピールが認められます。
原文
1130
実際に遺留分を請求するには
- 第1046条
-
遺留分を受け取る権利を持つ人は、まだもらえていない遺留分に相当する金額を請求する権利が認められます。
この請求は、遺贈による相続財産を譲り渡す立場の人や、遺贈により相続財産を譲り受ける立場の人に対して、行うことができます。 - 2
-
まだもらえていない遺留分に相当する金額を《遺留分侵害額》といいます。
《遺留分侵害額》は、相続人との関係により法律で保証される取り分から、次の第一号と第二号の金額を引き、第三号の金額を足した金額となります。 - 一
- 遺贈や特別受益により受け取った金額
- 二
- 法定相続分に基づいて相続した金額
- 三
- 相続した負債の金額
“遺留分を受け取る権利を持つ人”のことを《遺留分権利者》といいます。
“遺贈により相続財産を譲り受ける立場の人”、“遺産を譲り受ける人”のことを《受遺者》、“遺贈による相続財産を譲り渡す立場の人”、“遺産を引き渡す人”のことを《受贈者》といいます。
原文
1131
遺留分は金額で
- 第1047条
-
遺留分を含む遺産を受け取った人か、その遺産を引き渡す人は次の方法で遺留分を負担しなければなりません。
ただし、遺留分として受け取った価値の金額を超える分については負担する必要はありません。 - 一
- 本来は遺留分を含む遺産を受け取った人、それができない時は遺産を引き渡す人の順で負担してください。
- 二
-
同時に複数の人が遺産を受け取った場合は、受け取った割合に応じて負担してください。
同時に複数の人から遺産を引き渡す場合も、引き渡す割合に応じて負担してください。 - 三
- 遺産を引き渡すタイミングが異なる場合は、最後に遺産を引き渡す人が最初に負担し、順に後から引き渡す人へと負担してください。
- 2
- 次の規定は遺留分の金額を決める場合に同じように適用します。
- 3
-
遺留分を支払うべき立場の人が、遺留分を受け取る権利を持つ人が引き受けるべき債務を肩代わりしていれば、遺留分相当額を請求された際に肩代わりした分を減額することが認められます。
実際に減額された場合は、もはや肩代わり分を請求することはできません。 - 4
- 遺産を譲り渡す立場の人も遺産を受け取った人も、現金が全く無い場合は残念ながら遺留分はもらえないと思ってください。
- 5
- 遺産を譲り渡す立場の人も遺産を受け取った人も、遺留分の全部に限らず一部であっても現金の支払いがすぐにはできそうにない場合、裁判所に相談すれば、支払いの延期が認められることがあります。
原文
1132
遺留分返還請求の時効
- 第1048条
-
遺留分の返還を求める権利には時効があります。
相続が開始されて、生前贈与や遺言により財産を譲り渡された、と知った時点から一年が経過すると時効が成立します。
相続が開始されて十年経った場合も、時効が成立します。
この間に返還の請求をしなければ、時効によって権利は消滅してしまいます。
原文
1133
遺留分を受け取らないという選択
- 第1049条
- 家庭裁判所が許可をしない限り、相続が始まる前に「遺留分を受け取らない」という選択はできません。
- 2
- 相続財産を何人かで共有する場合、その内の誰かが「遺留分を受け取らない」ことにしたとしても、他の共有者も遺留分を受け取らないことにはなりません。
原文
1134
第5編 第10章 頑張ってくれた人には
第5編 第8章 相方に死なれて
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