第5編 遺産をどうするか
第五編 相続
第8章 相方に死なれても住み続ける
第八章 配偶者の居住の権利

第5編 第9章 分け前の最低保証分
第5編 第7章 天国へ行く前に伝えておきたいことを
第1節 相方には住み続ける権利が
第一節 配偶者居住権
相方に先立たれても
- 第1028条
-
人生を連れ添った相方に先立たれても、その相方の名義の家で一緒に暮らしていたなら、これからもそこに住み続けたり、家業を営む権利が認められます。
この権利のことを《配偶者居住権》といいます。
《配偶者居住権》は、誰かにお金を払ったりすることなく得られるものですが、次の方法で周りに認められる必要があります。
なお、相方がお亡くなりになられた時点でその家が他人との共有名義になっていた場合は、《配偶者居住権》が認められない場合もあります。 - 一
- 遺産分割で《配偶者居住権》が認められる
- 二
- 遺言書に《配偶者居住権》が記載されている
- 2
- その家を相続することになれば、《配偶者居住権》は必要がなくなりますが、他の人と共有名義で相続する場合でも《配偶者居住権》は認められます。
- 3
- 20年以上連れ添った夫婦が《配偶者居住権》を遺言に記載した場合は、自動的にその家が他の人との遺産分割には回されないことになります。
原文
1113
裁判所に配偶者居住権を認めてもらうには
- 第1029条
- 遺産分割を裁判所にお任せしている場合、次の条件に合えばその裁判所の判断で配偶者居住権を認めてもらうことができます。
- 一
- 他の相続人が配偶者居住権を認めてもいい、といっている場合
- 二
- 他の相続人が認めてくれなくても裁判所に配偶者居住権を認めるように請求した場合、配偶者の生活維持の必要性と家を相続した人の不利益を比べて許容範囲内だと裁判所が認めてくれた場合
原文
1114
お亡くなりになられるまで
- 第1030条
-
配偶者居住権は配偶者がお亡くなりになられるまで有効です。
しかし、分割協議によって違う決定がなされた場合や、遺言の中で違う内容が記載された場合は、その決定や記載が優先されます。
原文
1115
配偶者居住権は登記を
- 第1031条
- 配偶者居住権が認められたら、家の所有者はそのことを登記する必要があります。
- 2
-
登記が終わっていたら、家の所有者が変わったとしても、配偶者居住権に影響は受けません。
登記が終わっていたら、居住権の妨害を防いだり、勝手にそこに住もうとする人を追い出すことが認められます。
原文
1116
住み続けることになったら
- 第1032条
-
配偶者居住権が認められて、今まで通り家に住み続けることになったら、離れる時まで家をいっそう大切に使い続けてください。
これを期に使っていなかった所を居住用スペースに切り替えても差し支えありません。 - 2
- 配偶者しか認められない権利ですから、家族であっても配偶者居住権を他の人に譲り渡すことはできません。
- 3
- 住んでいる家の増改築をしたり、人に有償で使わせてあげるには、必ずこの家の所有者の承諾を得る必要があります。
- 4
-
家を粗末に扱ったり、勝手に増改築や他人に貸したりしたときは、所有者から何とかするよう注意を受けることになります。
一定期間に何とかしないと、所有者から配偶者居住権を止められてしまうことになります。
原文
1117
暮らしやすくするために
- 第1033条
- 配偶者居住権とともに、家の修理をしたり、暮らしやすくするために手をかけることも認められます。
- 2
- 家がほころんできたので、お願いしてもなかなか住んでる配偶者が手をかけてくれない場合、家の所有者が自分で修繕をすることが認められます。
- 3
-
修理が必要なのに配偶者が自分で手をかける気がない場合、家の所有者がそれを知らなければ取り急ぎその状況を知らせる必要があります。
自分の他に、その家に住む権利を主張する人が現れた場合も、家の所有者がそれを知らなければ取り急ぎその状況を知らせる必要があります。
原文
1118
一般的な費用は
- 第1034条
- 配偶者居住権があるのですから、その家にかかる一般的な費用は自分で負担しなければいけません。
- 2
-
その家にかかる特別な費用を立て替えたら、家の所有者に払い戻してもらうことができます。
ただし配偶者が住み心地を良くするために費用をかけ過ぎた場合は、その払い戻しまである程度時間がかかってもしょうがありません。
原文
1119
家を出るとき
- 第1035条
-
所有権を全く持たない配偶者は、配偶者居住権が認められなくなったらその家を出なければなりません。
共有の所有権を持つ配偶者は、配偶者居住権が認められなくなったら共有の持ち分がありますので、必ずしも家を出る必要はありません。 - 2
-
配偶者居住権に基づいて住むようになってから家に何かを取り付けたら、それを取り去って家を出ていっても問題ありません。
配偶者居住権に基づいて住むようになってから自分のせいで家のどこかを壊してしまったら、どうにも修理ができないケースや度を越す修理費用がかかる場合をのぞき、住むようになった時点の状態に戻してから出ていかなければなりません。
普通に使っていてできた傷みや自分に責任のない傷みは修理をして出ていく必要はありません。
原文
1120
賃貸の規定と同じように
- 第1036条
-
次の規定は配偶者居住権でも同じように扱います。
- 出ていく日を決めたら、それまでに退去してください。
- 配偶者がお亡くなりになったら、早々に退去してください。
- 損害賠償や費用の請求は1年以内にしてください。
- 難文《確認中》(第613条)
- 家を失ったら、退去してください。
《確認中》第616条の2は又貸しに関する規定なのですが、配偶者居住権との兼ね合いについて勉強させてください。
原文
1121
第2節 相方には当面の間、住み続ける権利が
第二節 配偶者短期居住権
相方に先立たれても当面の間
- 第1037条
-
人生を連れ添った相方に先立たれた際に、その相方名義の家で家賃を払うことなく暮らしていたなら、次に該当する条件により所定の期間はそこに無償で住み続ける権利が認められます。
先立たれた際に、家の一部だけを無償で暮らしていたなら、その分だけ無償で住み続ける権利が認められます。
この、当面家に無償で住み続ける権利を《配偶者短期居住権》といいます。
もちろん、配偶者居住権がきちんと認められた場合や、夫婦の事情で相方には相続をさせないことが決まった場合、《配偶者短期居住権》は適用されません。 - 一
-
住んでいる家を自分と他の人たちの誰が相続するかを話し合っている場合
誰がこの家を相続するか決定した日までか、相方が亡くなってから六ヶ月目の日までか、どちらか後の方の日まで - 二
-
住んでいる家を自分と他の人たちの誰が相続するかを話し合って決めない場合
《配偶者短期居住権》を取り消しにしてもらう要請が来てから6ヶ月目の日まで - 2
- 所定の期間はそこに無償で住み続ける権利が認められた場合、この家を相続で手に入れた人は住み続けられるのをジャマするために、家を手放したり、他の手を使ってはなりません。
- 3
- 相続を話し合って決めない場合は、家の所有者が決まった時点で《配偶者短期居住権》を取り消しにしてもらうように要請できます。
原文
1122
住み続けることになったら
- 第1038条
- 配偶者短期居住権によりいつもの家に住み続けることになったら、これまで通り家を大切に扱って暮らしてください。
- 2
- 配偶者短期居住権によりいつもの家に住み続けることになったら、自分以外の人も一緒に住んだりするためには、その家の所有者の許可が必要になります。
- 3
- 家を大切に扱わなかったり、勝手に他人を住まわしたりしたら、その家の所有者から「出て行け」といわれると従わなければなりません。
原文
1123
配偶者居住権が認められると
- 第1039条
- 一生住み続けられる配偶者居住権が認められたら、いらなくなる配偶者短期居住権は消滅することになります。
原文
1124
短かったけど、家を出るとき
- 第1040条
-
配偶者居住権が認められないまま、配偶者短期居住権が消滅した場合、その家で暮らし続けることはできませんので、出ていくことになります。
しかしその際、家の所有権の共有の持ち分があれば、すぐに出ていく必要はありません。 - 2
-
配偶者短期居住権に基づいて住むようになってから家に何かを取り付けたら、それを取り去って家を出ていっても問題ありません。
配偶者短期居住権に基づいて住むようになってから自分のせいで家のどこかを壊してしまったら、どうにも修理ができないケースや度を越す修理費用がかかる場合をのぞき、住むようになった時点の状態に戻してから出ていかなければなりません。
普通に使っていてできた傷みや自分に責任のない傷みは修理をして出ていく必要はありません。
原文
1125
短いけれど、賃貸の規定と同じように
- 第1041条
-
次の規定は配偶者居住権でも同じように扱います。
- 配偶者がお亡くなりになったら、早々に退去してください。
- 損害賠償や費用の請求は1年以内にしてください。
- 家を失ったら、退去してください。
- 住み続けることになったらすべきこと。
- 暮らしやすくするためにすべきこと。
- 一般的な費用について。
原文
1126
第5編 第9章 分け前の最低保証分
第5編 第7章 天国へ行く前に伝えておきたいことを
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