第2編 物権:物に関して
第二編 物権
第9章 質権:貸す代わりに何かを預かる権利
第九章 質権

第2編 第10章 抵当権:譲り受けない不動産で担保する権利
第2編 第8章 先取特権:優先的に支払ってもらえる権利
第1節 この章全般に言えること
第一節 総則
質権を有する人
- 第342条
-
お金を貸す代わりに、借金を返すまで本人か関係者からモノを預かり、お金を返してもらえなくなったらそれを優先的に自分のモノにできる権利を質権といいます。
その質権を有する人のことを質権者といいます。
原文
309
質に入れられるモノとは
- 第343条
-
質に入れられるのは、人に譲り渡すことができるモノだけです。
譲り渡すことができないモノは質に入れることはできません。
原文
310
質権が設定されるには
- 第344条
- 物を人に預けた時から、質入れ契約が有効になります。
原文
311
質入れしたからには
- 第345条
- 質入れをした以上、お金を返すまで自分が預けたモノの返還や、自分の物として使用することは許されません。
原文
312
質の代金の明細
- 第346条
-
質入れの契約をしたら、下記の項目に対する代金の支払いをしなければなりません。
- 貸したお金
- 貸したお金の利息
- 違約金
- 質の取り扱いの手数料
- 物の維持管理費
- 質に預けた物によって生じた損害賠償費
原文
313
質の代金を支払われるまで
- 第347条
-
質の代金を支払ってもらうまで、質草として預かった物を返す必要はありません。
しかし、自分が誰かにお金を借りていたら、その質草を差し押さえられてしまうこともあります。
原文
314
預かった物をさらに他に預けることもできます
- 第348条
-
質の契約の期間内であれば、質として預かった物をさらに別の人に預かってもらうことにより資金を集めることも許されます。
しかし、もし又貸しをしたことによってなにかトラブルが起こったら、預けた人はどうしてもやむを得ない事情であったとしても預かった責任を負わねばなりません。
預かったものを又貸しすることを《転質》といいます。
原文
315
一方的に都合の良い質契約はできません
- 第349条
- 質入れの契約をして預かったモノについては、一方的に質屋が取り上げたり、質に関する法律を無視して処分したり、といった質屋だけに都合のいい条件の取り決めをしてはなりません。
原文
316
他人の借金のために質入れしたのに
- 第351条
- 他人の借金のために自分の大切なモノを質草にしてあげたのに、その借金は返されることなく流れてしまった場合、保証債務の規定に従って「あの借金のせいで大切なモノを失ったんだから弁償してくれ」と命じることが認められます。
自分の財産の価値の分だけ人の債務の保証をする人ことを《物上保証人》といいます。
原文
318
第2節 質草が不動産以外の“もの”の場合
第二節 動産質
質草が人でに渡ると
- 第352条
- 質草がモノの場合、事情を知らない他人の手に渡ってしまうと自分のモノとは言い切れなくなりますので、預かった人は責任もって質草を確保しましょう。
原文
319
質草が盗られた時は
- 第353条
-
質草が盗られても、自分で勝手に盗り返してはいけません。
裁判所に訴えて、返還を認めてもらい、法に則って取り返してください。
原文
320
質草を競売をせずに質草を処分するには
- 第354条
-
貸したお金を返してもらえないならば、預かった質草を競売にかけるのが本来の決まりです。
しかし、合理的なコストで競売ができないと考えられる場合は、鑑定人に質草の評価をしてもらった上で、その評価に則った金額で売却して貸したお金の返済に当てることが許されます。
この鑑定人は、特別な許可を受けて裁判所に選出してもらう必要があります。
質草を売却して返済にあてるためには、あらかじめ元の持ち主に質草を処分することもあり得る、ということを通知しておく必要があります。
原文
321
二重に質権が設定された場合
- 第355条
- 1つのモノに複数の質権が設定された場合、支払いを受けられる順番は質権を設定した順番の通りです。
原文
322
第3節 質草が不動産の場合
第三節 不動産質
質草が不動産の場合に受け取れるお金
- 第356条
- 質草として不動産を預かったら、その土地や建物を活用することが認められ、そこから得られる家賃なども受け取ることができます。
原文
323
質草が不動産の場合に負担するお金
- 第357条
- 不動産を質として預かった場合は、不動産の維持・管理費用あるいは固定資産税などは預かった人が負担することになります。
原文
324
不動産を預かっても利息は請求できない
- 第358条
- 不動産を質として預かる場合は、利息を請求することはできません。
原文
325
契約で別の取り決めをした場合、他
原文
326
不動産質権の契約期間
- 第360条
- 不動産の《質権》は、最長でも10年以内とします。契約の際にこれより長い期間を設定したら、それは10年という意味になります。
- 2
- 不動産の《質権》は、契約を更新することができます。更新する契約期間についても、最長で10年以内とします。
原文
327
抵当権に関する規定と同じように適用することとします
- 第361条
- 不動産の《質権》については、この節の規定以外に、その性質に反しない限り、次章《抵当権》に関する規定も同じように適用することとします。
原文
328
第4節 質草が権利の場合
第四節 権利質
財産に関する権利を質に入れる場合
- 第362条
- 財産に関する権利についても質草にすることができます。
- 2
- 財産権を質入れする場合の規定は、この節の規定と、特に支障のない条文についてはこの章の他の節(総則、動産質・不動産質)と同様に適用します。
原文
329
- 第363条
- 削除
指名債権を質に入れるには
- 第364条難文
-
自分が所有する権利は、将来手に入れられる権利であっても、質草として預けることができます。
その質の代金を返せなくなったら、入ってくるはずのお金は自分をスルーして質草を預けた人に直接受け取ってもらうことにできます。
しかし、質に入れたことが伝わっていないと当初の予定通り自分のところにお金が入ってきてしまいます。
そうならないように、権利の債務者に対して質に入れたいきさつを伝えて、質草を預けた人に直接お金や権利を支払ってもらうことを理解してもらう必要があります。
この手続きに関する詳しいことは、第467条に規定されています。
“売買契約”や“給料の支払い”のようにお金や権利を受け取る人が決まっている債権のことを《指名債権》といいます。
受け取るはずのお金や権利を譲り渡すことになっている人に対して、受け取り元の人のことを《第三債権者》といいます。
原文
330
- 第365条
- 削除
質草が差し押さえられる場合
- 第366条
- 期限が来ても質の代金が支払えない場合、その質草は預けた人に差し押さえられてしまうことになります。
- 2
- 質草として預けられた「お金がもらえる権利」を差し押さえる時に、質の契約で決められた金額分までは差し押さえてもかまいませんが、それを超える金額分までは差し押さえることは許されません。
- 3
- 質草として預けられた「お金以外の何かがもらえる権利」の支払い期日が質の契約期間中に来てしまった場合は、その権利を受け取る代わりに供託所にお金を預けて、その預けたお金が質草となったこととして質の契約を続けることが認められます。
- 4
- 質草として預けられた「お金以外の何かがもらえる権利」を差し押さえる場合は、それにより得られた物が質によって差し押さえられることになります。
原文
331
- 第367条・第368条
- 削除
第2編 第10章 抵当権:譲り受けない不動産で担保する権利
第2編 第8章 先取特権:優先的に支払ってもらえる権利
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