第4編 親戚関係にある人たち
第四編 親族
第4章 子の面倒を見る義務と権利
第四章 親権

第4編 第5章 法律的に面倒をみてもらうには
第4編 第3章 親子の縁も
第1節 この章全体でいえること
第一節 総則
子を育て世話ができるのは
- 第818条
- 父と母には、成人になるまで子を育てる義務と子の世話ができる権利があります。
- 2
- 養い親には、成人になるまで養子を育てる義務と子の世話ができる権利があります。
- 3
- 子を育てる義務と子の世話をする権利は、父にも母にも共同で分け合ってください。
“子を育てる義務と子の世話をする権利”のことを《親権》といいます。
原文
884
離婚をしたり認知をした時の親権は
- 第819条
- 子がいるのに夫婦が離婚することになったら、父と母で話し合いをして、どちらが子の親権を引き継ぐのかを決めてください。
- 2
- 裁判によって離婚をすることが決まったら、父と母のどちらが親権を引き継ぐのかも裁判によって決めます。
- 3
-
妊娠中に離婚することになったら、産まれた子は原則として母が親権を引き継ぐことになります。
しかし、父と母とで話し合いをして、父が親権を引き継ぐことにしてもかまいません。 - 4
- 父と母とで話し合いをして決まれば、父によって認知をされた子の親権を父が引き継ぐことも認められます。
- 5
- 離婚後の親権に関する話し合いがうまくまとまらなかったり、そもそも話し合い自体ができない場合は、父や母が訴えた家庭裁判所で裁判所的に判定を受けられます。
- 6
- 将来のためにならないおそれがある場合、子の親族から訴えがあれば、家庭裁判所は親権を引き継ぐべき人を交代させることができます。
原文
885
第2節 親権を引き継いだら
第二節 親権の効力
子の面倒をみたり教育を受けさせたり
- 第820条
- 親権を引き継いだ人は、その子の将来のために面倒をみたり、教育を受けさせる権利と義務があります。
原文
886
生活する場
- 第821条
- 子は、親権を引き継いだ人が決めた場所で生活をします。
原文
887
叱ったり罰を与えても
- 第822条
- 親権に基づいて、子の面倒をみたり教育を受けさせるために必要であれば、子を叱ったり罰を与えることが許されます。
原文
888
お金をかせぐには
- 第823条
- 親権を引き継ぐ人の許しがなければ、子は仕事をしてお金を稼いではいけません。
- 2
- 商売が無理な場合には保護者がやめさせることができますが(第6条)、親権にもとづいてお金をかせぐことを許可した場合には親権を引き継ぐ人が商売を止めさせたり、制限したりすることが認められます。
原文
889
子の財産を責任もって
- 第824条難文
-
親権を引き継いで、子の面倒をみたり教育を受けさせる人は、その子の財産を責任もって管理し、子のために必要な分を使うことも許されます。
しかし、その子がお金を受け取れるからといっても、その子を働かせる約束や契約をする場合、必ずその子の納得を得なければなりません。
原文
890
両親そろってしたわけではない契約
- 第825条
-
両親の一方は反対していることでも、もう一方が2人の合意だと偽って子の代わりに契約をした場合でも、その契約は成立することになります。
両親の一方は反対していることでも、もう一方がする契約に子が同意をした場合も、その契約は成立することになります。
しかし、反対を押し切って無理やり契約を交わしていた場合は、その契約を認めない場合もありえます。
原文
891
利益・不利益を争う案件には
- 第826条
-
親子の間で利益が対立すると、親権がある親でも子のためになることをしてくれるとは限らないので、家庭裁判所でもその親に子の代理をさせることを認めないことがあります。
そうなった場合、中立的なポジションでその子の代理をしてくれる人を家庭裁判所に選んでもらう要請してください。 - 2
-
兄弟姉妹の間で、利益が対立すると、その子らの親権がある親が特定の子だけに肩入れするかもしれないので、家庭裁判所でもその親に全員の子の代理をさせることを認めないことがあります。
そうなった場合、自分が代理する子以外の子には中立的なポジションで代理をしてくれる人を家庭裁判所に選んでもらう要請してください。
“親と子、あるいは兄弟姉妹で利益・不利益を争うような案件”のことを《利益相反行為》といいます。
“親権を任された親の代わりに中立的なポジションでその子の代理をしてくれる人”のことを《特別代理人》といいます。
原文
892
自分の財産と同じくらい慎重に
- 第827条重要
- 親権を任された人が子の財産を扱う際には、無駄遣いせず自分の財産と同じように慎重に管理し、扱ってください。
原文
893
子の財産を清算してください
- 第828条
-
親に変わり親権を預かって子を成年まで育て上げたら、子育ての経費や子の財産状況を清算してください。
養育費や、財産の精算にかかった経費は、子の資産を運用して得た収益から相殺してもかまいません。
原文
894
- 第829条
- 財産的な支援をした人が、「子に対してならお金などの支援してもいいけれども、親権を持つ人に対してお金を渡す気はありません」と主張した場合、その主張通り、子のため以外に転用することは認められません。
原文
895
見返りのない財産が譲られる際には
- 第830条
- 無償でいいから子に財産を譲っても、親権を持つているとはいえその親には財産を渡したくないというのなら、その親に財産を渡す必要はありません。
- 2
-
無償で、しかも親には渡さない条件で財産を子に譲ったものの、誰に管理を任せるのかを決めなかった場合、その子本人が家庭裁判所に頼んだら、管理をする人をきめてもらうことができます。
本人以外に、その子の親族や検察官も管理をする人を決めるように家庭裁判所に頼む資格があります。 - 3
-
財産を譲る人が誰にその管理を任せるのかを指定したのに、その人が管理を任せられない状態になったら、家庭裁判所に頼んで誰に管理を任せるのかを決めてもらうことになります。
別の人に管理を任せることが必要になった場合も、家庭裁判所に頼んで誰に管理を任せるのかを決めてもらうことになります。
財産を譲る人が別の人に管理を任せると指定した場合は、わざわざ家庭裁判所に頼む必要はありません。 - 4
- 管理をする人を家庭裁判所に決めてもらう場合、次の条文を同じように適用します。
原文
896
委任の規定と同じように
原文
897
子の財産管理の経費や手間賃の時効
- 第832条
-
たとえ親権にもとづいて子育てをした場合であっても、子の財産を管理するためにかかる経費を子の財産から請求できるのは、子の財産の管理をする権利が終了した後の五年間です。
それ以降は時効により請求できなくなります。 - 2
-
他に法定代理人がついていない状況で、未成年の内に子の財産の管理をする権利が終了した場合、時効のカウントが始まるのは次の時点のどちらかとなります。
- 子が成人した時
- 後任の法定代理人がついた時
原文
898
子も孫もまとめて親権
- 第833条
- 親権により面倒をみている子から孫ができたら、子も孫もまとめて親権を有することになります。
原文
899
第3節 親権を任されなくなる時
第三節 親権の喪失
ふさわしくなければ親権を取り上げます
- 第834条
-
次の場合、子やその親族、未成年後見人や未成年後見監督人あるいは検察官からの要求により、「親から親権を取り上げる!」と家庭裁判所的判定を受けることになります。
- 虐待をする恐れがあり、親権を果たすべき親としてふさわしくないと思われる場合
- 子を見捨てたりして、親権を果たすべき親としてふさわしくないと思われる場合
- 子の財産が失われる心配がある場合
原文
900
親らしくなければ親権を止めさせます
- 第834条の2
-
次の場合、育ててもらっている側の子から家庭裁判所に要請されると、「親から親権を止めなさい!」とジャッジしてもらうことができます。
- 親らしいことができない事情がある場合
- 親としては不向きなせいで、子の財産が失われる心配がある場合
- 2
- 家庭裁判所が親権を止めるのは、まともな親に戻るためか、子の気持ちや生活状況が落ち着くためなので、その期間は最大2年に限られます。
原文
901
子の財産を管理できなければ財産に手を付けては
- 第835条
-
親のくせに子の財産を使い込んでしまったり、ちゃんと管理ができない心配がある場合、子が要請すると「親だからといって子の財産に手を付けてはいけません!」という《管理権損失》の家庭裁判所的判定をしてもらうことができます。
子が要請できなくても、その子の親族、あるいは未成年後見人や未成年後見監督人、さらに検察官も要請することができます。
原文
902
ちゃんと親らしくなった時には
原文
903
親としてやむを得ない事情があったら
- 第837条
- 親権を持つ親であっても、どうしてもやむを得ない事情があったら、家庭裁判所の許可をもらって、親権や子の財産の管理権を返上することが認められます。
- 2
- どうしてもやむを得ない事情を心配する必要がなくなったら、家庭裁判所の許可をもらって、親権や子の財産の管理権を持つ親にもどることが認められます。
原文
904
第4編 第5章 法律的に面倒をみてもらうには
第4編 第3章 親子の縁も
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